もう一度考える・一眼レフは必要か?

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デジタルカメラ

D7000が来てまもなく4ヶ月になるが、未だに自分の物という実感が湧いてこない。いずれ売るという意識があるから、まるで借り物の感覚なのだ。いつまでも感情移入できないのはそのためだ。本当に自分の物になったら良い面も悪い面も含めて、さあガンガン使いこなしてやるぞ!という気持ちになるはずなのだが、全然そんな気分にはなれない。それもこれもすべては財政難のせいだ。D7000を買ってから資金繰りが悪化して経済が崩壊の危機に瀕しており、最大の不良債権たるD7000に矛先が向かうのは自然の成り行きである。

最近のヤフオク相場を調べてみると、D7000は良品で5万円強で取引されているようだ。購入価格から考えると差額は1万円。4ヶ月間のレンタル料が1万円なら高くはないだろう。ただし元が取れるほど使ってないが・・。5万円が目の前に転がっている! これはものすごく魅力的だ。とにかく今は現金が欲しい。ピント問題がどうのこうの言うのは別にどうでもいいことであって、何かと手放す理由を付けて現金に換えたいだけなのだ。最近はD7100も徐々に値下がりしており、新品でD7000との価格差が3万円ほどに縮小している。この分だと早く売らなければ価値がどんどん目減りしてしまう。売るなら今だ、急げ!

しかし目先の金欲しさに結論を急ぐのはいかがなものか? ここでもう一度今後のプランについて再考すべきではないか? 猶予期間をもう少し先に延ばしたい。そこで次なる作戦に出た。D7000を売る売らないにかかわらず、不要な機材が多すぎるから、まず余剰資産の単焦点レンズを整理する。どっちみち単焦点は使わないことがわかっているので、24mmF2.8Dと50mmF1.4Dの2本を売却することに決定。合わせて約3万円と読んでいる。これで当面の経済危機を回避し、問題を先送りにするのだ。(爆)


そこでもう一度考えたいのは「一眼レフは必要か?」という根本的なテーマだ。そう思ったのは最近の動きを見てからだ。このところ秋の新製品ラッシュが続いたが、中でも最も衝撃的だったのはソニーのα7/α7Rの登場だろう。まさかのフルサイズミラーレスである。それと同時に近い将来、一眼レフの終焉も予感した。今やソニーも含めて多くのメーカーがミラーレスへ軸足を移そうとしている(ソニーは厳密な意味でもう一眼レフを出していない)。今後、一眼レフで生き残れるのはニコンとキヤノンだけになるだろう(一応ペンタックスもあるか)。その二社さえも将来はどう転ぶかわからない。

言うまでもなく、ミラーレスに先鞭を付けたのはオリンパスだ(先に製品化したのはパナソニックだったが)。歴史を振り返ってみると、オリンパスがいち早く開発し、その後業界標準となったものは多い。たとえばダストリダクション、ライブビュー、アートフィルターなどがある。これらはオリンパスが最初に実用化したものだが、今ではほとんどの機種に搭載されている定番の機能だ。ローパスフィルターレスのブームに火を付けたのもE-5がきっかけだったと言えるだろう。オリンパスは常に時代の最先端を走っているのだ(ただし会社がダメだから時流に乗れない)。ミラーレスもまさにその通りになっている。したがって、今後はミラーレスがデジタルカメラの本流になっていくことは間違いないと確信する。これは誰も反論のないところだろう。

ミラーレスの利点は何と言ってもボディーを小型軽量にできること。マイクロフォーサーズを使っていると、こんなに小さくて良く写るんならでかくて重い一眼レフなんて要らないんじゃない?と思えてくる。重くて使えないカメラなんて持ってても何の意味もないのだ。そしてミラーレスというシステムはデジタルカメラの本質を衝いたものだから、あらゆる面で合理的にできている。まずファインダーで実際に写る映像が完全にプレビューできるということ。視野率が完全100%なのはもちろん、露出やホワイトバランスも撮影時にすべて反映される。一眼レフなら撮ってからしか確認できないので撮り直しもよくあるが、これじゃ失敗のしようがない。そして撮像面そのものでピント合わせを行うので、AFが正確ということも見逃せない。一眼レフでしばしば悩まされるAFの誤差は原理的に生じない。ファインダー内に多くの情報を表示できたり、アスペクト比を自由に変更できることもミラーレスならではの恩恵であり、動画と親和性が高いことも副次的な産物だろう。こういったことはフィルム時代にはまったく想像もできなかったことで、デジタルカメラだからこそ可能になった利便性である。したがって、それらのすべてを享受できるミラーレスこそがデジタルカメラの本来あるべき姿だといえる。

一方、一眼レフはといえばフィルム時代をそのまま引きずったレガシーなシステムだ。極論すれば、写真をすぐに見られること以外はフィルムカメラから何も進化していないと言えるだろう。デジタルカメラだからこそ受けられるはずの恩恵のほとんどが一眼レフというシステムによってスポイルされているのである。それでもなお(現在のところは)一眼レフが主流を占めているのはなぜか? それは集約すれば「速写性」の一点にあるのだろう。ミラーレスもAF速度が速くなったとはいえ、一眼レフの位相差AFにはまだ追いつかない。そして動体への追従能力は圧倒的に一眼レフが勝る。さらにミラーレスではファインダーの遅延問題や、連写時にファインダーがコマ送り状態になることから動体の捕捉が難しくなるという致命的な問題がある。そのため、動体撮影を中心とした分野では今でも一眼レフが優位でいられるのである。

しかしこれらのミラーレスの欠点は技術革新によっていずれ克服されていくことであろうし、現段階でも風景などの静物しか撮らないのであれば何の問題もない。一眼レフなんて屋内スポーツやライブ撮影でもやらない限り一生必要ない。つまり、自分がいま一眼レフを持つ必然性はもはや何もないと言えるのだ。それでもなお一眼レフにこだわる理由があるとするならば、それは「快適性」と「経済性」の二点に絞られると思う。

結果としての写真には何の影響も及ぼさないが、ミラーレスと一眼レフでは撮影しているときの気分はかなり違う。EVFがいくら良くなったとは言っても、やはり光学ファインダーで生の映像を見るのとは気持ちよさがまったく異なるし、ミラーレスは小型化を優先するあまりボタン類の配置がせせこましくなり、どうしても操作感がチマチマした感じになってしまう。その点、一眼レフならば大きなボディーを生かしてゆとりのある快適な操作系を実現できる。つまり一眼レフを使うということは、結果よりも「カメラを操る快感」に重きを置かれているのだろうと思う。言い換えれば、フィルム時代へのノスタルジーみたいなものだ。しかし結果よりも撮影という行為を重視するならば、素直にフィルムカメラを使えばいいような気がする。一応フルサイズなんだし・・(笑)

そしてもう一つはコストの問題。一般的に言ってミラーレスは割高である。オリンパスのPENとOM-Dシリーズ、富士のXシリーズ、ソニーのNEXシリーズの上位機に属するものはいずれも10万円超ないし10万円近くもする。しかし性能面だけで言えば、これらは現行のAPS-C一眼レフエントリー機を超えるものではない。一眼レフならボディーのみ3~4万円で手に入ることを考えると、相当なぼったくり価格と言えるだろう。もちろん「小さい」ということが付加価値になっているわけで、それに対して支払う対価と考えられるが、それにしても高すぎると思う。E-P3の暴落ぶりを見てもわかるように、あのくらいの価格が本来の適正価格なのだろう。ボディーだけでなく、レンズも割高感たっぷりだ。現状、ミラーレス機ではサードパーティーの参入がほとんどなく、メーカー純正に限られるため、どうしても割高なレンズばっかりになってしまう。その点、一眼レフならシグマ、トキナー、タムロンといったサードパーティー製の安価なレンズが自由に選べるので、F2.8クラスの大口径ズームでも3万円台で入手できたりする。現在最も安価なシステムはAPS-C一眼レフだと言って間違いないだろう。貧乏人にはありがたい限りのシステムである。しかしその代償として大きさを我慢しなければならない。

結局、ミラーレスか一眼レフかの選択は、大きさをとるか価格をとるかという選択になってくるのだが、それ以前に複数マウントというのは経済性が悪すぎることを考慮しなければならない。D7000を選んだのはもともと手持ちのレンズが使えるということが大きかったが、APS-Cだと結局どれも帯に短し襷に長しで使い物にならない。しかもレンズによってはAFが全然合わないこともわかり、使えるレンズなんてほんの数本しかない。結局はまた新しくレンズを買い直さなければならないのだ。そこまでしてD7000を使う価値があるか? それならば今あるマイクロフォーサーズをベースにしていった方が経済的ではないか? つまりマイクロフォーサーズへの完全な一本化だ。

いま気になっているカメラがある。それはパナソニックのG6だ。EVF内蔵でバリアングルモニター搭載とかなり魅力的。来年の春頃には暴落が始まるだろうから、最終的にはダブルズームキットが4万円まで下がると見ている。それまでにD7000を売却し、G6に買い換えるというのが現在有力なプランだ。これを次の主力機としてマイクロフォーサーズに完全集約するのも悪くないだろう。ただ気になるのはマイクロフォーサーズの将来性だ。α7の登場は間違いなくマイクロフォーサーズの脅威になり得るだろう。E-M1とα7が同じ15万円なら、誰だってα7を買うに違いない。そこが怖いのだ。世間ではセンサーが大きいほど良いと捉えられているから、あっという間にフルサイズミラーレスが市場を席巻する可能性がある。するとまたオリンパスのお家芸「マウント投げ出し」が始まるだろう。今度はマイクロフォーサーズ終了である。

自分は必ずしもフルサイズミラーレスが良いとは思っていない。フォーマットを大きくすれば当然レンズも大きくなり、レンズに要求される性能も非常に高くなってしまうからだ。ボディーは小型でもレンズが巨大なシステムになるだろう。その点、マイクロフォーサーズは画質とサイズのバランスが絶妙であると考えている。やはりオリンパスには先見の明があったのだ。センサーが小さいといっても、今後の技術革新でA2プリントは余裕でできるレベルになるだろうし、ISO3200も普通に使える時代が来るだろう。もちろんフルサイズも進化するわけだから、その差は永遠に埋まらないわけだが、それはもうA0プリントとか特殊な用途でしか必要のない完全なオーバースペックとなる。それよりも小型フォーマットのメリットだけが生きてくるわけで、今後もマイクロフォーサーズ一本で行くことには積極的である。ただし、いくらマイクロフォーサーズの合理性を力説しても、市場の反応が必ずしもそうではないところが問題なのだ。世間ではやはりフルサイズセンサーへの信仰が根強く、業界もそれを扇動してくるだろう。マイクロフォーサーズは必ず埋没する。そこがマイクロフォーサーズ一本化への不安要因であり、安全パイとしてD7000を残すか?という迷いも出てくる。

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