PENTAX K-30 ファーストインプレッション(機能編)

投稿日:2013年12月1日 更新日:

デジタルカメラ

操作面のレビューは前回大方書いたので、次は機能面のレビューに移ろう。まずAFだが、前回書いたように速度については申し分ない。精度だけれども、これも概ね良好で実用上問題ないレベルと感じている。少なくともD7000みたいにどこにもピントが合っていないボケボケの写真が撮れることはない。ただ厳密に追い込むにはやはり微調整は必要である。キットレンズとの組み合わせではわずかに前ピン傾向が見られるようだった。微調整はレンズ個別に設定することができて、最大20本まで登録できる。それはいいのだが、オリンパスやニコンは±20段階あるのに比べて±10段階なのがちょっと少ない気がする。もちろん補正範囲とは直接関係ないだろうからどっちが良いというわけでもないが・・。それと+と-のどちらが前ピン後ピンに相当するのか、説明が何もないので最初は戸惑った。普通に考えれば+が後ピンになりそうだが、実は-が後ピン方向への補正だった。これはちょっと不親切な仕様ではないか・・


AF微調整で難しいのは、至近側と無限遠側で補正量が異なるケースがあるということだ。実は前ピンといっても至近側では無調整でほぼ合っており、あえて調整する必要はない。問題になるのは18-55mmの広角端で無限遠の場合だけなのだ。このとき補正なしではピントがやや手前に来る傾向がある。望遠端では問題ない。要するに被写界深度が深く、MFでもピント合わせが難しい場合は、ピントの合う範囲が広いため、その範囲内で誤差が生じてしまうということだろう。実際MFでフォーカスエイドしてみると、かなり広い範囲で合焦マークが点灯しており、ある程度幅があることがわかる。その中のどの位置で止まるかは不定であり、それが誤差の原因となる。これをできるだけ無限遠寄りに持って行くには-8くらいの後ピン補正が必要だったが、それをやりすぎると今度は至近側で後ピンになってしまう。だから今は-6補正にとどめている。どうしても無限遠をシビアに出したい場合はMFするのが一番確実。

ライブビュー時のAFは他社に比べて驚くほど速い。なぜ他社はあんなに遅いのか不思議なくらいだ。ただライブビューでのC-AFというのはできないようだ。それをあきらめた分、速くなったということなのか? MF時はOKボタンを押すと拡大表示できるのだが、最大倍率が6倍というのはちょっと低い気がする。広角で正確にピントを合わせるのは厳しい。それと一部の人が言っているように、ライブビュー時にMENUボタンやINFOボタンを押すとライブビューが解除されるという問題がある。要するにライブビュー画面とメニュー画面を重ね合わせできないということなのだろうが、他社のカメラを使っていた人間にはちょっと面食らう仕様ではある。

液晶モニターは屋外ではちょっと見づらいが、色の再現性はかなり良いと思う。家に帰ってからPCで見てもそれほど落差がない。オリンパスだと背面液晶ではきれいに見えすぎてPCで見るとガッカリということが多いのだが、そういうことはあまりない。ただアスペクト比が4:3なのは上下が切れて無駄な気がする。何でこういう仕様になっているのだろうか?

次に手ぶれ補正機能について。自分は手ぶれ補正はボディー内蔵に限ると考えており、それがペンタックスを選んだ理由でもある。気になるのはオリンパスに比べて効きがどうなのか?ということだ。どうもあまり効いてないような気がするのでちょっと実験してみた。300mm相当で1/60秒という確実にブレそうな条件で手ぶれ補正あり/なしで比較してみたのだが、補正なしではほぼ全滅なのに対して、補正ありでは歩留まりが半分程度まで向上したので、やはり2段分くらいの効果はあると思ってよさそうだ。また手ぶれ補正でよく問題となる1/125秒付近の誤動作が気になるのでやはり実験してみたが、ブレを誘発しているような現象は見られなかった。したがって手ぶれ補正は常時ONのままで使って問題ないと考える。E-620と違って手ぶれ補正専用のボタンがないから、できるだけ切り替えはやりたくない。

電子水準器を内蔵しているのもエントリー機としては珍しいアピールポイントだが、実際に使うかとなるとちょっと疑問が残る。というのも水準器を表示させるとファインダー内で露出補正値がわからなくなってしまうためだ。まあどのメーカーでも露出バーに水準器の表示を兼用させているためそういう問題は起こるのだが、この辺はEVFを使用するミラーレス機の強みではあろう。この問題を避けるには、前ダイヤルに露出補正を割り当てるをやめて、通常通り露出補正ボタンを押しながら後ダイヤルを回す操作にすれば、ボタンを押している間は露出補正値が表示されるため問題ない。そして前ダイヤルにはISO感度の変更を割り当てるのが実用的かもしれないと思った。でないと遊んでいる露出補正ボタンがもったいないのだ。(笑)

自動水平補正についてはちょっと試してみたが、効果があるのかないのかよくわからなかった。最大±1度ということだから、目で見てわかるほど傾いていると効果はないということなのか? まあ変に誤動作すると困るから、この機能は使わないでおこうと思う。構図微調整についても操作がめんどくさく、三脚の雲台を動かす方が早いと思うから使わないだろう。(笑)

ホワイトバランスについてはAWBが非常に優秀と感じた。少なくとも晴天の屋外であればAWBのままで変な色が出たことはない。青空の抜けが良く、実に気持ちのいい色が出る。オリンパスだと変なアンバー被りが出たりして、太陽光固定にしないと信用できなかった。ニコンもよく言われるように黄色被りが気になることがある。そのことを思えば非常に信頼感があり、ずっとAWBに任せて撮ることになるだろう。ペンタックス独自のCTEについてはまだ試してないので、そのうちやってみるかもしれない。

ペンタックスの分割測光はいい加減と言われているが、K-30の分割測光はなかなか優秀である。もちろん背景が極端に明るかったり暗かったりすると補正は必要ではあるが、それでも予測を裏切るような動作はしておらず、概ね±0.7EV以内の補正で収まっている。自分はもともと分割測光を信用していなくて中央重点測光派だったのだが、これなら分割測光を常用してもいいと思う。少なくともニコンやオリンパスに比べて劣るものではない。

あとAF/AE-LボタンがデフォルトでAFスタートに設定されているのは少し変だなと感じた。つまりシャッターボタン半押しでもAF/AE-LボタンでもどちらでもAFが起動するようになっている。親指AFにしたい場合は逆にシャッターボタン半押しは殺したいはずだから、何を意図しているのかよくわからない。自分はもともと中央重点測光でAEロックを多用する方だったから、当然AEロックに割り当てている。AF/AE-Lボタンは4通りにカスタマイズできるが、これもオリンパスほど細かく設定できないのがちょっと残念な点。

最後に動画についてはまた別の機会に改めて検証したいと思うけれども、K-5系よりは進化しており、1920x1080で30fpsの動画を撮ることができる。1280x720なら60fpsも可能だ。しかもエンコード形式はH.264を採用しているので、MotionJPEG方式より大幅に容量を小さくできる。動画専用ボタンというものはなく、モードダイヤルを動画に切り替えてシャッターボタンでスタートする方式。ただ残念なのは音声がモノラルマイクのみで外部マイク端子も装備されていない点。これがK-01だと内蔵マイクはステレオな上に、外部マイク端子まで装備しているのがうらやましい。なぜそんなことにこだわるのかというと、演奏風景を撮るのにマイク経由ではなく直接ライン出力からぶち込みたいからだ。D7000はそれができただけに無念さが残る。

あと説明書からはよくわからないのだが、動画撮影中のAF追従はできないようだ。つまりC-AFにしていても撮影開始時のピント位置で固定されてしまう。ただしAF/AE-Lボタンを押すと撮影中でもピント合わせはやり直してくれる。もちろん盛大に音は拾ってしまうが・・

まあしょせん動画はオマケということか。動画にこだわるならG6・・(以下略)

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