PENTAX-DA L 18-55mmF3.5-5.6ALはf6.3がベスト

投稿日:2014年2月13日 更新日:

デジタルカメラ レンズ

重箱の隅をつつくような話題で恐縮だが、先日スクープした「ペンタックスのAFにおける怪しい挙動」の続編である。その前に、根拠となったアサヒカメラの記事を紹介しておこう。もう一度図書館で借りてきて確かめた。これはメーカーの公式な見解だから間違いのない話だ。

asahicamera_Jan_2013
アサヒカメラ2013年1月号「ニューフェース診断室」より抜粋

さて、その後さらにK-30をいじっていたところ、また新たな事実が判明した。絞り値によるピント位置補正は絞りに応じて連続的に変化するものと思っていたが、どうやらそうではないらしい。大ざっぱに言えば「開放」と「小絞り」の2段階しかないことがわかってきた。そしてその境目となる絞り値はf6.3とf7.1の間にあることを突き止めた。この絞り値を境にピント位置補正が作動するかしないかが決まるのだ。ただしこれはボディーとレンズの組み合わせによって異なるかもしれない。あくまでもK-30とDAL 18-55mmF3.5-5.6ALの組み合わせでの話と思っていただきたい。

これを確かめるには、フォーカスリングに指を添えたまま絞りをf6.3とf7.1で往復させると、わずかに回ることで確認できる。しかしf22まで絞ってもフォーカスリングはそれ以上回らないのだ。いくら確かめても2段階しかないと思われる。あるいはフォーカスエイドを利用して確認する方法もある。MFに切り替え、f6.3で合焦マークがギリギリ手前側に消えるところに合わせておき、絞りをf7.1に変えると今度は合焦マークが点灯する。つまりピントが手前に移動したということだ。何度やってもそうなる。

この推論が正しいとすると、絞りをf6.3からf7.1に変えたところで描写が大きく変化することが予想される。何度も言っているように、このレンズの広角側は顕著な像面湾曲があり、周辺部ではピントが手前側に来てしまうため、やや後方にピントを合わせないと遠景では周辺が甘くなる。そうするとこのピント位置補正によって周辺の描写が大きく影響を受けるはずである。それを実写で検証してみた。

20140212_142532
smc DAL 18-55mmF3.5-5.6AL 18mm f6.3

検証には上の写真を使用した。絞りf6.3とf7.1で2枚撮影している。ピントは最も遠方の山の稜線に合わせている。その際、ピント位置がわずかに動いたことを確認している。手持ち撮影なのでフレーミングがややずれているのはご愛敬。

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f6.3の中央部(クリックで等倍表示)

これがf6.3の中央部だが、非常に良く解像しており、このくらい写れば文句はないだろう。

18mm_f6_3_corner
f6.3の周辺部(クリックで等倍表示)

一方、周辺部はかなり甘くなる。これが像面湾曲による影響だ。

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f7.1の中央部(クリックで等倍表示)

絞りをf7.1に変えることによってピント位置がわずかに手前側に動いたが、中央部の描写はほとんど変わらないように見える。

18mm_f7_1_corner
f7.1の周辺部(クリックで等倍表示)

しかし周辺部はf6.3よりさらに甘くなったのがわかるだろう。これはピント位置が手前側に移動したため、像面湾曲の影響がさらに大きく出てしまったためである。

絞りをわずか1/3段変えるだけでこれほど描写に影響が出るとは思ってもみなかった。普通なら絞るほど良くなると思うだろうが、このレンズは絞っちゃいけないのだ。絞るのはf6.3までにするのがよい。それならば開放と同じピント位置で合焦するから、像面湾曲の影響をそれほど受けなくて済む。f7.1以上に絞っちゃうとピントが手前側に移動し、像面湾曲の影響で周辺は悲惨なことになる。遠方の風景写真を撮るならば絶対にf6.3にとどめるべきだ。どうしても絞りたければ、MFに切り替え、できるだけ後方にピントを合わせることで像面湾曲の影響は軽減できる。

たぶん10メートル以内の近景であれば、手前側にピントが来てもどこかに合っているはずだから、像面湾曲はそれほど気にならないだろう。しかし遠景では周辺がボケていると非常に気持ち悪いのだ。これまでf7.1なんて絞っているうちに入らないと思っていたが、そうじゃなかったんだ。f7.1で撮った写真はことごとくボケボケ。これでやっと原因が明らかになった。遠景を撮るには職人的な使いこなしを要求されるレンズである。そのことをわかった上で使うのであれば、軽量でなかなか使いでのあるレンズだと言える。

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