M.ZD 12-50mmF3.5-6.3EZを購入した理由

投稿日:2017年2月11日 更新日:

レンズ

マイクロフォーサーズへ完全移行の第一歩として、M.ZD 12-50mmF3.5-6.3 EZを購入した。久々のカメラ機材購入である。

なぜこれを買ったのかと言えば、メインレンズにふさわしい標準ズームがないからだ。一応、M.ZD 14-42mmF3.5-5.6II RやG VARIO 12-32mmF3.5-5.6はあるのだが、メインレンズというにはあまりにもしょぼい。写りは悪くないんだけど、沈胴式というのはいちいち繰り出すのが面倒だし、伸びた姿がカッコ悪い。メインレンズとしてはもうちょっと風格が欲しいのだ。

かと言ってF2.8クラスのPROレンズになれば高価でとても手が出ないし、m4/3には手頃な標準ズームというものが意外と存在しないのだ。そこへ最近投げ売りになったM.ZD 12-50mmF3.5-6.3 EZが気になり始めた。わずか1万円ちょっとという信じられないお値段。現行のどんなm4/3交換レンズよりも安い。高性能で知られるパナの初代14-45mmF3.5-5.6よりも安いんだ。どうせ買うなら12mmスタートで望遠も少し長い方が良い。在庫処分だからこんな値段で買えるのは今のうち。これはもう買うしかないという結論になった(爆)。

しかし気になるのは各種レビューの評判が良くないことだ。kakaku.comのユーザーレビューはもちろん、海外のレビューサイトもいくつか見てみたが、評判は概してどれも同じ。広角側の開放では中心はシャープだが周辺がやや甘い、望遠側では均質になるが全体の解像度が下がる、数値的には概ねそういう評価になるようだ。そして総合評価としては「飛び抜けたところのない並のレンズ」という評価を下されることが多い。それは決して良い意味ではなく、褒めるところのない凡庸なレンズとして酷評されてしまうのだ。参考にしたサイトのリンクを下に張っておこう。

photozone
LensTip.com
ePhotoZine
Photography Blog

だからユーザーの間でも評判は良くないのだが、人気がない最大の理由はデカさだろうと思う。確かにm4/3の標準ズームとしては大柄だし、結構重い。デカいくせにスペックがパッとしないから人気がないのも無理はない。しかしAPS-Cで同じスペックを求めればもっと馬鹿でかくなるんだから、このくらいなら上等と思わなければいけない。それにボディーとのバランスを考えると、このくらいのボリュームがあった方が安定感があって良いと思う。メインレンズとしての風格は十分である。

百聞は一見にしかず、等倍の実写サンプルも数多くチェックしてみたが、「案外いけるんじゃない?」という印象であった。確かに広角端の開放は周辺がやや甘い気がするが、少し絞ったサンプルでは周辺まできっちり解像しており、気になる像の流れなどはない。焦点距離によるバラツキが少なく、ズーム全域にわたって水準以上の描写を叩き出している。自分に言わせれば「これのどこが悪いの?」という感じであった。自分がダメレンズと評する基準は、周辺が大きく流れたり、像面湾曲が酷くて中心と周辺のピント位置が異なるようなレンズのことである。そういうクセがなくて絞れば改善してくれるのなら何も問題はない。これをダメレンズと言う人はいったいどういうレベルを求めているのだろうか?と思う。

もちろん明るさがF3.5-6.3であるからボケはまったく期待できないレンズだが、普通に風景を撮るなら何の不足もない。135換算で24-100mmがカバーできて、しかもマクロ機能付きと来れば旅レンズとしては満点だろう。これだけの機能で1万円ちょっとならコスパは抜群である。というわけで、以下購入に至った理由を書いてみる。

購入に至った理由

安い

当たり前だけど、安くなければ買わない(笑)。Amazonで税込11,900円であった(今は少し値上がりしたようだ)。ギフト券も投入して実質8,500円で購入できた。昨年夏頃に暴落する前は3万円以上していたのだから、いかにぼったくっていたかということである。高値で買ってしまった人は怒り心頭であろう。オリンパス製品は投げ売りになって初めて適正価格になったと言える。

これの直接のライバルとなるのは最近発売されたパナのG VARIO 12-60mmF3.5-5.6だろう。後発だけあってスペックはすべて上回っているし、描写性能も一枚上と思われる。しかも重さはほぼ同じで全長が短いと来れば、オリンパスの勝ち目はない。しかし値段が4万円以上もする。4倍近い価格差があればコスパはオリンパスの圧勝である。暗くて少々デカくてもこの値段ならすべてが許せる。

常用焦点距離域をカバー

一般的な14-42mmという標準ズームでは広角側が足りないと感じる時があるし、望遠側も中途半端である。12-32mmになると広角側は十分だが、望遠側が明らかに足りない。しかし12-50mmであれば通常使用する焦点距離の9割はカバーできる。とにかく1本で済ませたい旅レンズとしては最適である。14-140mmのような高倍率ズームは明らかに描写力が落ちるため興味はない。12-50mmというのは比較的コンパクトで描写性能を維持できる最適解なのだ。

マクロ機能がある

このレンズではMACROボタンを押しながらズームリングを先端側へスライドさせることによりマクロモードに入ることができる。ズーム全域の最短撮影距離は35cmだが、マクロモードでは焦点距離が43mmに固定される代わりに最短20cmまで近寄れる。メーカーによると、最短で48mmx36mmの範囲が撮影可能としている。つまり、おおよそ35mmフィルムを複写できるくらいの性能があるのだ。これはマクロレンズに匹敵するくらいの倍率であり、通常の用途ならマクロレンズが不要になる。特に登山中に小さな草花を撮りたいような場合にはレンズ交換が要らないのだから非常に便利な機能である。

伸びない

長く伸びるズームは見た目が非常にカッコ悪い。見た目なんて写りには何の関係もないが、あのダサい姿を見ただけで撮影気分が萎える。特に沈胴式は撮影状態にすると必ず伸びた状態になるため、収納時とのギャップが大きい。だからメーカーのカタログは伸びた姿を決して人に見せない(笑)。

その点このレンズはインナーフォーカス式だから、どの焦点距離にあっても長さは一切変わらない。もともと長いけど、普通の標準ズームを望遠側に目いっぱい伸ばしたときと同じくらいだから別に気にならない。伸びないズームはやっぱりカッコいい。

動画に向いている

このレンズの特徴は電動ズームである。電動ズームは微妙な画角調整がやりづらいので嫌いだが、動画撮影となれば話は別だ。動画では電動ズームがないとどうしてもスムーズにズームできないからだ。12-50mmという倍率はズーム効果も十分にあり、電動ズームの採用は合理的である。

さらにリニアモーターを搭載したMSC機構を採用しており、ほぼ無音のAFが可能であることから、動画との相性も良い。

L-Fnボタンがある

このレンズには鏡胴側面にL-Fn(レンズファンクション)ボタンというものが付いている。オリンパスのボディーではこのボタンに任意の機能を割り当てることができる。これはE-PL5のようにFnボタンが一つしかない機種ではありがたい機能だ。

フィルター径が52mm

これは個人的な事情なんだけど、一番手に入りやすい52mm径フィルターだから、うちにはPLも含めてゴロゴロしている。つまり追加で買う必要がないということだ(笑)。それにレンズキャップも52mm径だと扱いやすい。37mm径のように小さすぎるやつは落としそうで嫌いなんだ。

ファーストインプレッション

E-PL5に装着したところ、当たり前だけどオリンパス機とのマッチングは抜群だ。E-PL5がずいぶん精悍に見える。レンズがこのくらい長いと下からしっかり支えることができて、むしろホールド感は良くなった。これで名実ともにメインカメラに昇格である。

手ぶれ補正は内蔵していないからパナ機に使うと当然手ぶれ補正なしになるが、メインカメラはオリンパス機にしたいと思っているからこれで良い。それよりもパナのレンズをオリンパスのボディーに付けると色収差補正が効かないことの方が問題だ。

実写レビューは天気が悪すぎてできないので当分先になるだろう。ただ近所で試写した限りでは、f8に絞ればどの焦点距離域でも周辺まで満足な描写をするとの感触を得た。これで文句を言う人はどうかしている。何しろ1万円ちょっとで買えるんだ。買って良かったとしか言いようがない。

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