デジタルカメラ

一眼レフ不要論

投稿日:2012年11月5日 更新日:

僕のデジタル一眼レフデビューは2009年4月のこと。オリンパスE-520が最初だった。根っからのカメラマニアである自分にしては、意外と遅いと思われるだろう。最初の普及型デジタル一眼レフ(といっても15万円くらいしたが)であるEOS Kiss Digitalが登場したのが2003年のことだから、新しもの好きはその頃からデジタル一眼レフを購入し、2009年までには2~3台買い換えていてもおかしくない。僕がそれまで一眼レフに手を出さなかったのは、まだまだフィルムには追いついていないと考えていたからだ。

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それまではフィルムを主力とし、補助的にコンデジを使うというスタイルが定着していた。つまり、これだけはしっかり残しておきたいと思う写真はフィルムで撮影し、どうでもいいような記録はコンデジで撮るという使い分けをしていたのだ。だから両方とも持っていることが多かった。そしてネイチャーをやめてから写真は趣味ではなくなった。それは写真のためだけに写真を撮るということがなくなったことを意味する。たとえば登山とかサイクリングとか、そういう別の活動の記録として写真を撮るのである。そういう場合、写真が趣味とは言わないだろう。あくまでも写真は付随物であり、目的ではない。

そうなると重たい一眼レフというものは本来の活動を阻害する邪魔物でしかなくなる。したがって、コンデジしか持って行かないことが多くなった。何と言ってもコンデジというのは最も役に立つカメラである。とにかく写真というものはカメラを持っていないとどうしようもない。でもコンデジなら持っていてもまったく邪魔になることはない。ポケットからサッと取り出してサッと撮れることがコンデジの強みだ。だからいつもコンデジがお供なのだ。

しかしコンデジは画質が悪い。昔に比べればだんだん良くはなっているが、大伸ばしに耐えるような画像ではない。しょせんブログにアップする程度の記録用だ。ちょっと本気を出して撮りたくなると、やはりコンデジでは後悔が残る。そこで「そろそろ」デジタル一眼レフに行ってもいいかなと思ったのが2009年なのだ。その頃には1000~1200万画素が普通になり、画質もフィルムに遜色のないものと考えられるようになってきた。デジタル一眼レフを導入すればフィルムカメラと2台持ちする必要もなくなり、荷物を軽量化できて一石二鳥という狙いもあった。そこで購入したのが、当時きわめて小型軽量であったE-520というわけだ。

それで最初は喜んで一眼レフを使っていたのだが、そのうちまた使わなくなってきた。やはりでかいのだ。特に自転車と一眼レフは非常に相性が悪い。普通のママチャリと違って、スポーツ用自転車には前カゴというものがない。だから普通はリュックなどに入れて背負うことになる。しかし誰しも経験あると思うが、背中に背負ってしまうとまったく撮らなくなるのだ。いちいちリュックを下ろしてカメラを取り出し、また背負うという動作がとんでもなくめんどくさい。だから結局撮らなくなる。何のためのカメラか? これがコンデジならポケットにでもしまっておいて、サッと取り出してすぐ撮り、また走り出すことができる。やろうと思えば走りながら片手で撮ることも可能だ。その機動力の差は圧倒的だ。登山の場合でも同じで、首から一眼レフをブラブラさせていると危険なので、結局コンデジに戻ってしまった。やはりコンデジは最強である。

ということで、やたらとコンデジにこだわり、最終的にPowerShot S95にたどり着いたのだが、そこへ突然降って湧いたのがミラーレス機だ。もともとマイクロフォーサーズを買う気など全くなかったのだが、E-PL2はモデル末期で激安だったからつい魔が差してしまったのだ。ところがそれからというもの、E-620はおろか、S95もまったく出番がなくなってしまった。どこへ行くにもE-PL2を持ち出してしまう。そのくらいお気に入りなのである。コンデジよりはでかいが、一眼レフに比べると圧倒的に小さいサイズがよい。それでいて画質はコンデジと格段の差があり、一眼レフと実質的に同じなのだから、コンデジも一眼レフも出番がなくなってしまうのは自然の成り行きだ。いわば両方のいいとこ取りをしたものがミラーレス機なのだ。

ミラーレス機というのはデジタルカメラにとって最も自然な形態であると自分は考える。フィルムとは異なるデジタルの本質を考えると、ミラーレスに行き着くのは必然であると言える。むしろ一眼レフというシステムの方が亜流なのだ。もともと一眼レフはフィルム時代のレンズ資産を流用するために考えられた「借り物」であり、それはデジタルカメラにとって最適な形態ではないことは誰しも異論のないところだろう。そもそもせっかくセンサーでとらえた映像をそのまま見られるのに、わざわざ別の光学系を通して見るという構造自体が非合理的である。もちろん現時点では一眼レフにも一定のアドバンテージはあって、それは主に位相差方式による高速なAFと連写性能にあるだろう。たとえば室内スポーツなどは一眼レフの独擅場と言っても差し支えない。そういう需要がある限り、一眼レフが廃れることはないだろうと言えるが、少なくとも自分のようにそういう撮影を一切しない人間にとって一眼レフが必要かと言われると、明確にノーと答えられる。

一眼レフに対するミラーレスの優位性を議論する前に、まずミラーレスの欠点について明記しておこう。それは「直射日光下で液晶モニターが見えない」ということ、ただ一つである。これはE-PL2を使ってから自分で実感しているから間違いない。とにかく屋外では液晶が見づらい。そのため構図もいい加減になってしまう。水平が傾くこともしばしばだ。もちろんEVFを使えばある程度解消できるのだが、それでも光学ファインダーに比べればリアル感は劣るし、タイムラグの問題も残る。こればかりはミラーレスの宿命であり、唯一の欠点ともいえる。他にも昔はAFが遅いという問題もあったが、最新のオリンパス機などは非常に速くなっており、一眼レフと比べても遜色はない。また連写速度も一眼レフと同レベルまで向上してきている。したがって、屋外で液晶が見にくいということだけが唯一の欠点なのだ。まずその欠点を確認した上で、ミラーレスの利点について列挙してみよう。

1) 露出が反映される

これはコンデジでは当たり前のことだが、ミラーレス機でもモニターで見えているものがそのまま撮影される。露出補正もそのまま反映されるから、白飛び・黒つぶれがないように最適な状態に持って行くことが可能である。これが一眼レフなら、露出補正は経験と勘でやるしかないし、一度撮影して結果を見てからまた撮り直しということをやらざるを得ない。これじゃフィルムとあまり変わらない。ミラーレスでは撮る前に結果がわかってしまうのだから、これほど楽なものはない。フィルムには絶対に真似のできない芸当だ。

2) ファインダーの誤差がない

視野率100%でないファインダーの場合はもちろんであるが、たとえ100%であっても完全ではないし、通常はわずかに誤差が存在する。しかしミラーレスなら原理的に誤差は発生しない。ファインダーで見えているものがそのまま写真になる。それこそが究極の「一眼レフ」であるといえる。

3) ファインダーが暗くならない

一眼レフの場合、F4-5.6といった暗いズームを付けるとファインダーが暗くなって不快であるが、ミラーレスではそういうことは一切ない。安物のレンズであろうが、写りさえ良ければ気にせず使えるのはメリットだ。

4) AFが正確

一眼レフの位相差式AFの場合、実際の撮像面と異なる光学系を用いてピント合わせをしているために、どうしても誤差が生じやすい。レンズとの相性もあって、特にサードパーティー製のレンズではピントずれが発生しやすいと言われている。そういう場合、AFの微調整機能を使うか、メーカーに調整に出すしか方法がない。調整が不十分な場合、どこにもピントが合っていないような眠い写真が撮れることになる。一方ミラーレス機では直接撮像面でピント合わせをしているので、原理的に誤差が発生することがなく、どんなレンズを使っても非常に正確にピントが合う。これもE-PL2で実感した。

5) 画面のどこでもピント合わせができる

最近の一眼レフでは数十点の測距点を持つものも珍しくないが、それでも画面の端まではカバーしていなくて中央に偏りがちである。しかしミラーレス機では測距点という概念すらなく、画面内のどこでもピント合わせが可能である。それをさらに進化させたものがタッチパネルと組み合わせたタッチAFであろう。それはまさにミラーレスだからこそできる究極のAFシステムだ。

6) ホワイトバランスが反映される

RAWで撮る場合は後からどうにでもなるが、JPEGメインで撮る人には重要だ。露出と同じく、ホワイトバランスも撮る前にモニターで確認できるから、色温度を適切に設定することができる。

7) どんなアングルでも撮れる

一眼レフと違って、直接ファインダーを覗き込まないので自由なアングルで撮れる。たとえば柵の上に手を上げてハイアングルで撮影したり、地面スレスレの草花をローアングルで撮ることも容易にできる。ちょっとした隙間さえあれば、手を突っ込んで外から見えない部分を撮影することさえ可能だ。バリアングルモニターのある機種ならなおさら良い。またネイチャーの経験のある人ならわかると思うが、三脚に固定して滝などを見上げて撮っていると、どうしても腰が痛くなってしまう。それは無理な姿勢を続けることによる。ミラーレスならそんなときも無理な姿勢を取らなくて済む。

8) 眼鏡使用者に好都合

自分自身は眼鏡をかけていないのだが、サイクリングの時はサングラスをかけているので、ファインダーを覗くとどうしてもケラれてしまう。ミラーレスならもちろん眼鏡をかけていてもまったく関係はない。これは本当にありがたいと思った。

9) アスペクト比が反映される

フォーサーズのアスペクト比はもともと4:3だが、気分によって3:2や1:1に変更することも可能である。とは言っても単に4:3の画面をトリミングしているだけだから後でPCでトリミングするのも同じことなのだが、撮影時にフレーミングを意識して撮るのとはまったく意味が異なる。一眼レフではたとえマルチアスペクトに対応していても、ファインダーに枠が表示されるわけではないから勘でフレーミングするしかないのだが、ミラーレス機では液晶モニターに実際の撮影範囲がマスク表示されて正確にフレーミングすることができる。そして意外と盲点だったのだが、それはJPEGだけでなくRAWでもちゃんと反映されるのだ。オリンパスのマイクロフォーサーズ機の場合、純正のOLYMPUS Viewer2だけでなく、Lightroom4のような汎用現像ソフトでもちゃんと撮影時のアスペクト比を反映して自動的にトリミングしてくれる。

以上、自分が思いついたことをざっと挙げてみたが、屋外で見づらいという液晶モニターの欠点が逆に利点になるケースも多々あり、必ずしも悪いものではないことがわかる。唯一の欠点と天秤に掛けても、圧倒的に利点の方が多いと思う。やはりミラーレスこそがデジタルカメラの最も理想的な形態なのであり、デジタルカメラならではの機能はミラーレスによってしか実現できないことが多い。だから自分のように「写真を趣味としない人」にとっては一眼レフはまったく無用の長物であり、ミラーレスこそ最適なのだ。マイクロフォーサーズ万歳。

ではそれでもあえて一眼レフを使う理由は何か? それは強いて言えば光学ファインダーを覗くことによる「官能性」ではないだろうか? ピントを合わせるとき、マット面の上で像がはっきりしてくる様子は一種の快感である。それは確かにミラーレスでは味わえない。一眼レフというものは実用本位ではなく、そういう趣味性に魅力を感じて使うべきものなのだ。そういう意味では一眼レフはフルサイズでないとありがたみが少ないと言える。したがって、自分は一眼レフを使いたければフィルムで楽しむという道を選ぶ。撮影の楽しさを味わうというのは、もはやフィルムカメラでしかできないのである。

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