廃校写真集を電子出版

投稿日:2021年1月29日 更新日:

写真集

最近写真を撮ることも少ないが、撮った写真を見返すことはさらに少なくなった。旅から帰ったらLightroomに取り込んでそのままほったらかし。現像することもしない。もうRAW現像なんて面倒なことはやってられないので、全てJPEGで撮ろうかと思っている。

写真を撮ることは簡単なんだよ。問題はその後だ。撮った写真をどうやって見せるか、活用するかということ。そっちの方がよっぽど難しい。だからほとんどの人は撮ることには熱心だけれども、撮りっぱなしになりやすい。

昔は写真を世間の人に見てもらうには写真展を開くか、写真集を出版するしか方法がなかった。しかしこれは費用がかかるし、一般の人にはハードルが高い。時代は流れてインターネットが世に登場してからはブログやSNSが新たな写真発表の手段となった。誰でも手軽に、しかも無料で写真を公開できることから、一億総フォトグラファーみたいな状態になっている。今やネットに写真をアップしたことがない人の方が珍しいであろう。多くの人はそれで満足してしまっているんだ。

しかしブログやSNSというのは写真発表の手段としては必ずしも最適ではない。というのは、これらは時系列で流れていくものだから、アップした写真は次々と後ろへ追いやられて埋もれてしまう。つまり散逸してしまって集約性がないのだ。そこでは写真は一過性の消費されるものへと性格が変わっていく。実際、SNS上では一週間も経てばどこかに埋もれてしまって、もはや誰も顧みなくなる。

それに比べて昔ながらの写真集というものは、一定のテーマに沿って編纂されたものであり集約性がある。一冊にまとまっているからこそ価値がある。それを保有する限り、いつでも手にとって眺めることができる。時代が変わっても写真集には普遍的な価値が存在するのだ。だから多くのアマチュア写真家にとって写真集の出版は夢であった。

しかし写真集を自費出版するには数十万円単位で費用がかかるし、出版社から出すには作家としての力量を認められなければならないわけで、さらにハードルが高い。一般の人にはとても無理な話だ。だから自分にとっても写真集の出版は夢のまた夢だったのだが、最近では「しまうまプリント」のようなオンラインの製本サービスが登場したことから、一冊数百円から出版することが可能になった。少なくとも金銭的には誰でも手軽に写真集を出版できる時代になったのである。

当然こういうサービスを利用して写真集を作ってみたいという構想はずいぶん前からあった。他の方が作った写真集を購入したこともあった。たとえ版が小さくページ数が少なくても、やはり物理的な実体のある紙の本は良いものだ。ただ現実問題として、ページ数に制約があるのと発送の手間を考えるとどうしても制作には踏み切れなかった。

そこで注目したのが電子書籍という形での出版である。今はAmazonがKindleコンテンツとして取り扱っているので、利用した方も多いだろう。これも一定のフォーマットさえ守れば誰にでも出版できて、しかも費用もかからない。紙の本なら販路を開拓するのが大変だが、電子書籍ならAmazonが勝手に販売してくれるので、検索に引っかかってユーザーの目に留まれば売れる可能性がある。紙の本に比べて電子書籍は味気ない気がするが、場所を取らないし、どこでも読めるというメリットもある。ブログと違っていったんダウンロードしてしまえばネット環境は必要ない。徐々にではあるが、電子書籍は確実に浸透してきている。

次の問題はどんなテーマで出版するかということだ。自分にはこれといったテーマがなかったから、いざ写真集を作ろうと思っても思いつかない。一番ダメなのはネイチャーフォトだ。そんなものはネット上に腐るほど転がっているから誰も見向きもしないのは明らか。誰も金を出して買おうとは思わないだろう。ある程度、独自性や希少性のあるテーマでなければ売るのは難しい。

そこで思いついたのが当ブログのメインテーマでもある廃校だ。数えてみると結構な数の廃校を撮っていたことに気付いた。写真の数で言うと数千点にも上るだろう。これならテーマとして十分成立しうる。すでに存在しない廃校もあることから、記録的な価値も高い。ある程度全国に散らばってはいるが、ほとんどが和歌山・奈良・三重の紀伊半島に集中していることから、地域を絞って「紀伊半島の廃校」というテーマで出すことを思いついた。これなら網羅性が高く、規模としても申し分ない。これだけでも相当な数の写真があることから、1巻あたり100点前後収録するとして、5巻以上のシリーズ化が可能という見通しができた。

制作に当たって情報を収集したが、初めてのことだから戸惑うこともあった。やはりブログほど簡単ではないので、一般の人にはややハードルが高いかもしれない。特にグラフィックソフトの取り扱いに慣れている人でないと難しいだろう。自動化ができないととにかくめんどくさいんだよ。ただその分、参入者が少ないから競争が少なく、ブルーオーシャンと言える。始めるなら今のうちだろう。

一番大変だったのは写真のセレクトだ。大量にある写真の中から100点ほどに絞るのは本当に難しい。同じような写真ばかり並ぶと飽きられちゃうからね、選び方は大切。並べる順序も効果を考えなければならない。でもそれもブログとは違った醍醐味かもしれないね。

初めての経験でちょっと苦労はしたけど、とりあえず第1弾として「紀伊半島の廃校 第1巻」が完成した。実質4~5日くらいの作業だったかな? 引き続いて「紀伊半島の廃校 第2巻」とともにKindleストアで発売されている。

普通にKindle本として購入することもできるんだけど、実は売ることはほとんど考えていない。どうせ誰も買わないだろうから(笑)。それよりもKindle Unlimitedに加入している人なら無料で読むことができるから、そっちがメインターゲットだ。有料で売ることが難しい個人出版者はこの形態をとることが多い。このシステムがなければやろうという気にならなかっただろうね。

というわけで、ようやく1作目を発売にこぎ着けたので、続編の制作に入る。こういうのは一度やってしまえば要領がわかるから、あとは同じことの繰り返しで簡単だね。廃校シリーズが終わったら、またいろんなテーマで作ってみようと思う。最初にも言ったけど、写真は撮ることばっかりじゃなくて、それをどう使うか?が大事なんだよ。

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