2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
まったく人気のない山中に忽然と現れる鉄筋校舎。これが旧東ノ川小中学校である。この校舎は集落の入口にあり、県道のすぐ脇にあるから嫌でも目に入る。ここを訪れるマニアのシンボル的存在になっている。この校舎は1964年、坂本ダムの建設によって水没した集落への補償として移転し建設された。こんな山奥に似つかわしくない気がするのはそのためだ。当時としてはモダンな鉄筋建築だったのだろう。しかしその後、主要産業であった林業が衰退し、人口の流出が著しくなったことから、わずか5年後の1969年に休校となっている。結局、この新校舎で学んだ生徒はわずか5名に過ぎなかったという。
東ノ川の集落が廃村後40年以上も経過しているとは思えないほど比較的きれいな状態だったのとは対照的に、この校舎は見るも無惨な姿を晒している。心ない者によって破壊の限りを尽くされ、窓ガラスは全部割られ、壁は落書きだらけ。まさに廃墟そのものだ。しかしその破壊の後からも長い年月が経過し、一層シュールな状況になっている。すでに多くのブログで紹介されているから目新しいものでも何でもないが、さらに崩壊が進む前に写真に残しておくことは意義のあることだろう。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
校庭の隅にあった記念碑。「望郷立志誓之碑」と読める。志を果たしていつの日かこの地に帰ることを願って建てられたのだろうか。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
玄関へ上がる階段。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
これが玄関。すべての扉がぶっ壊れているので潜入は容易である。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
中は土砂が流入して凄いことになっている。裏側の扉が抜けているため、裏山から流れ込んでくるようだ。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
廃校の定番・トイレ。(笑)
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
教室の中も土砂だらけ。黒板の落書きが見苦しい・・
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
残留物は乏しいが、こういった教材の類はいくつか見ることができる。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
ボロボロになった机。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
2階へ上がってみた。ここは鉄筋校舎だから比較的安全と思われる。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
残留物がほとんどないから何の教室だったのかはわからない。たぶん一般教室か?
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
相変わらず落書きが見苦しい。落書きの犯人は尾鷲から来た人間であることはわかる。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
2階の一番奥の部屋はカーテンで仕切られていたようだ。しかしすでにボロボロ。わずかな残留物から見て、音楽室だったと思われる。楽器類は何もなし。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
あちこちで天井が崩落している。
2014年4月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC
窓ガラスが割られて痛々しいけれども、この窓から見える景色は素敵だったのだろうと想像する。
噂には聞いていたけれども、これほど酷いとは驚いた。廃墟が有名になるとこうなるという良い例だろう。ここまで破壊されると今さら伏せても意味はないのだが、ネット時代の今日、人知れず存在している廃墟を破壊から守るためにはうかつに場所を特定させることは慎まなければならない。