SIGMA 17-50mmF2.8EX DCの解像感を検証

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先日公開した解像感評価ソフトを用いてSIGMA 17-50mmF2.8EX DCの解像感を絞りごとに比較してみた。その結果、非常に興味深いデータが得られたので紹介する。これは目視で確認した解像感と完全に一致する結果だ。

この前も説明したように、解析の結果得られる解像度の絶対値には理論的な根拠がないので、それをもって写りが良いとか悪いとか議論するのは意味を持たない。しかし条件を同一にした上で比較するならば、相対評価としての意味はある。まずそのことを念頭に置いて読んでいただきたい。


今回は絞りによる解像感の違いを検証するのが目的だったので、テストは比較的やりやすい。できるだけ厳密を期すため、撮影は三脚に固定して行った。構図は完全に同一のはずである。ただ雲の動きが速かったので、安定して太陽が出ている間を狙って素早く絞りを変えてシャッターを切った。解像感の比較が目的であるため、できるだけ高周波成分の多い風景を選び、撮影距離を無限遠に近くして被写界深度の影響を最小にした。絞りによるピント移動がないことが前提だが、ピント位置は動かないようにMFで固定した。

広角端17mm、中間域29mm、望遠端50mmでテストを行ったので、それぞれについて解析データを示す。コントラスト基準値はデフォルトの0.0014を使用している。なお、解像度の数値は絵柄によって大きく影響を受けるため、異なる画角で比較しても意味がない。同じ画角のグループでだけ意味を持つ。数値だけを見て17mmが一番良いのかと誤解しないように・・

使用カメラ:PENTAX K-30

17mm

20140303_142519
テストに使った風景

■17mm f2.8
sigma1750_17mm_f28
画像解像度:2018 LW/PH
光学解像度:64.3 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:61.83%
実効画素数:6.15 Mpixels

■17mm f4
sigma1750_17mm_f40
画像解像度:2710 LW/PH
光学解像度:86.3 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:83.03%
実効画素数:11.09 Mpixels

■17mm f5.6
sigma1750_17mm_f56
画像解像度:2850 LW/PH
光学解像度:90.8 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:87.32%
実効画素数:12.26 Mpixels

■17mm f8
sigma1750_17mm_f80
画像解像度:2504 LW/PH
光学解像度:79.7 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:76.72%
実効画素数:9.47 Mpixels

29mm

20140303_142601
テストに使った風景

■29mm f2.8
sigma1750_29mm_f28
画像解像度:2010 LW/PH
光学解像度:64.0 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:61.58%
実効画素数:6.10 Mpixels

■29mm f4
sigma1750_29mm_f40
画像解像度:2658 LW/PH
光学解像度:84.6 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:81.43%
実効画素数:10.67 Mpixels

■29mm f5.6
sigma1750_29mm_f56
画像解像度:2806 LW/PH
光学解像度:89.4 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:85.97%
実効画素数:11.89 Mpixels

■29mm f8
sigma1750_29mm_f80
画像解像度:2684 LW/PH
光学解像度:85.5 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:82.23%
実効画素数:10.88 Mpixels

50mm

20140303_142646
テストに使った風景

■50mm f2.8
sigma1750_50mm_f28
画像解像度:2516 LW/PH
光学解像度:80.1 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:77.08%
実効画素数:9.56 Mpixels

■50mm f4
sigma1750_50mm_f40
画像解像度:2742 LW/PH
光学解像度:87.3 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:84.01%
実効画素数:11.35 Mpixels

■50mm f5.6
sigma1750_50mm_f56
画像解像度:2806 LW/PH
光学解像度:89.4 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:85.97%
実効画素数:11.89 Mpixels

■50mm f8
sigma1750_50mm_f80
画像解像度:2508 LW/PH
光学解像度:79.9 LP/mm
ナイキスト周波数に対する割合:76.84%
実効画素数:9.50 Mpixels

念のため複数の風景でも検証してみたが、傾向はいずれの焦点域でもまったく同じであった。開放では解像度がやや低いが、f4まで絞ると急激に解像度が上がる。そしてf5.6で解像度はピークに達する。f8まで絞ると明らかに落ち始める。データには載せなかったが、f11まで絞るとかなり落ちてしまう。それでも開放よりは良い。目視で確認してもそう感じていたが、データで裏付けられた形だ。

したがって、このレンズは特別な意図がない限り、f5.6で使うのがベストということだろう。絞ってもf8が限界。f11まで絞っちゃうとこのレンズを使う意味がほとんどなくなる。絞る必要のない遠景でむやみに絞ってはいけない。近景からのパンフォーカス描写など、よほど被写界深度を稼ぎたい場合以外は使うべきではないだろう。

予想通りの結果が出てちょっと安心した。これでソフトの正当性が証明されたということだ・・