G VARIO 12-32mmF3.5-5.6 ASPH. 手ぶれ補正の効果検証

投稿日:2016年1月26日 更新日:

デジタルカメラ レンズ

GM1Sに付属するキットレンズG VARIO 12-32mmF3.5-5.6 ASPH.には小さいながらも手ぶれ補正機構が内蔵されている。このサイズに詰め込んだこと自体が驚きだが、正直言って性能は大したことないだろうと期待もしていなかった。それに135換算で24-64mmという焦点距離域だから別になくても良さそうな気はする。しかし1/15秒以下のスローシャッターを切る場合にはやはりあった方が良いわけで、実際にはどのくらいの効果があるのか気になるところである。公称値では約3段分とのことだが、実写で額面通りの性能が出ることはまずない。まあ2段分の効果があれば良しとしよう。

今回は手ぶれ補正2段分の効果があるのかどうかを検証するとともに、ボディー内手ぶれ補正を内蔵するE-PL5と同一レンズ・同一条件で比較実験も行った。

このテストではズーム中間域の25mm(135換算で50mm)を使用した。手ぶれしない限界のシャッタースピードは135換算での焦点距離分の1と言われているから、この場合なら1/50秒が限界となる。2段分の補正効果を検証するため、それより2段分遅い1/13秒にシャッタースピードを固定し、各50枚ずつ撮影してブレが見られない枚数(良像率)をカウントした。

両機種ともEVFを持たないから手を前に出して背面液晶で撮るスタイルになる。一応、足を肩幅に開き、両脇を締めてシャッターボタンを静かに押すという基本は忠実に守ることにする。言うまでもなく連写は使わず、一枚一枚シャッターボタンを押す。

E-PL5では当然同じレンズを使用し、焦点距離も25mmで統一する。またレンズ側の手ぶれ補正を無効にしてボディー側の手ぶれ補正が効くように設定している。

良像の判断基準は、等倍で見てブレが判別できないこととする。A3プリント程度ではわからないような微小ブレもあるが、ここではあくまでも厳密に判断し、等倍でわかるブレは不可とする。

各50枚撮影して手ぶれが認められないコマ数をカウントしたのが次の結果だ。

DMC-GM1S 手ぶれ補正なし 2/50
DMC-GM1S 手ぶれ補正あり 33/50
E-PL5 手ぶれ補正なし 0/50
E-PL5 手ぶれ補正あり 7/50

基本的に25mmで1/13秒というのは手持ち不可能で、両機種とも手ぶれ補正なしではほぼ全滅という結果だった。しかし驚いたのはレンズ内手ぶれ補正とボディー内手ぶれ補正の差である。レンズ内手ぶれ補正では2段分の補正効果は確かにあり、3分の2がOKとなった。しかも大ブレは少なく、A3プリント程度ならOKとなりそうな微ブレも多数含まれていた。これなら2枚撮影すれば1枚は確実にOKとなり、1段半くらいであればほぼパーフェクトな補正効果が望めると言っていいだろう。パナの手ぶれ補正恐るべしである。

その一方でE-PL5のボディー内手ぶれ補正は目を疑うような結果だった。確かにないよりはマシなのだが、この程度では2段分の補正効果があるとはとても言えず、せいぜい1段分あるかないかだろう。しかも等倍で見なくてもはっきりわかる大ブレが大半で、惜しいコマはほとんどなかった。あまりにも酷すぎる結果だ。E-PL5の方がボディーが大きい分ブレにくいと思ったが、そんなことはなかった。むしろGM1Sは電子先幕シャッターのためブレにくい可能性も考えられる。

今までE-PL5で撮影していて妙にブレが多いと感じていたが、こういうことだったんだ。手ぶれ補正があると思って安心しているから結果的にブレを増やしてしまった。どうせほとんど効果はないことがわかったんだから、初めから手ぶれ補正は「ないもの」と思って素直にISO感度を上げた方が確実にブレを防げそうである。

このテストでわかったことは、パナのレンズ内手ぶれ補正は優秀だということ。確かにボディー側に手ぶれ補正がなくてもこれなら安心できる。一方でオリンパスのボディー内手ぶれ補正は非常に怪しいということだ。もちろん最近の5軸手ぶれ補正などは優秀だと思うが、一昔前の2軸式手ぶれ補正は信用しない方が良い。むしろそれに頼って安心してしまう方がかえって危険。そしてE-PL5でこのレンズを使うときも、レンズ側の手ぶれ補正を有効にした方がはるかに良い結果が得られるということもわかった。やっぱりちゃんと比較はしてみるもんだねえ・・

あとオマケとして、K-30にSIGMA 17-50mmF2.8EXの組み合わせでも同じ実験をしてみた。こちらも135換算50mm相当と1/13秒は同じ条件である。その結果は手ぶれ補正OFFでは0/50、手ぶれ補正ONでは36/50の良像率であった。ということはペンタックスのボディー内手ぶれ補正は結構優秀で、約2段分の補正効果は確実にあると思って良い。ボディー内手ぶれ補正だから効果が低いのではなく、オリンパスのそれがクソなだけ。したがってボディー内手ぶれ補正があることを選定理由にするのはまったく無意味である(ただしE-PL6以前の機種に限る)。

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