この前から悩まされているAF-S 24-85mmの写りが悪い件、実はAFの精度不良であったことが判明した。価格.comのクチコミを見ていると、D7000にはピントズレの問題が高い頻度で発生しているらしい。それもほとんどのケースで後ピン傾向になることが多いという。被写界深度は前方に浅く、後方に深い性質があるから、少々の前ピンは問題にならないのだが、後ピンは致命的だ。手元の個体もチェックしてみたのだが、やはり後ピンだった。それも少々ではなく、大幅にずれている。この状態で評価しても周辺がボケボケになるのは当たり前で、もう一度厳密に調整する必要が出てきた。
厄介なのはレンズごとにバラツキがあって、個別に調整しなければならないということ。幸いD7000には個別のAF微調整機能があるので、それを使って調整を行う。本来は調整と撮影を繰り返しながら追い込んでいくのが確実なのだろうが、そこまでやってるととても時間がかかるので、簡便な方法で調整を行った。これは距離目盛りが付いているレンズに限られるのだが、まずライブビューの拡大表示でピントを正確に合わせ、そのときの距離指標を覚えておく。ライブビューは像面でのピント合わせだから、絶対に誤差が出ることはない。そしてファインダー撮影に切り替えてAFでピントを合わせ、その時の距離指標を読み取る。ライブビューと一致していれば問題ないが、もしどちらかにずれている場合は調整が必要だ。無限遠側にずれているようなら後ピンだから、補正値をマイナス方向に調整する。AF-S 24-85mmの場合は-8程度でジャスピンになった。補正の最大量は±20までだから、それに収まる範囲なら自分で調整が可能だが、もしその範囲を超えてしまうとSC送りしか方法がなくなる。純正で-8も補正が必要なのはかなり心配だ。これがサードパーティー製になるとさらに大きくなって微調整の範囲に収まらない可能性もあり得る。事実、手持ちのシグマのレンズの1本は極端な前ピンで+20でも補正しきれなかった。だからシグマのレンズを買うのはちょっと勇気が要る。
厳密に言うとズームレンズの場合、広角端と望遠端でも補正量が異なるはずだから、それぞれに調整が必要だが、D7000はそこまで細かく調整できない。余談だが、E-620はズームレンズの広角端と望遠端、さらに測距点ごとの調整が可能という非常にマニアックな仕様になっている。エントリー機でそこまでできるのだから凄いとしか言いようがない。いずれにせよ個別のAF微調整機能がないボディーはその時点でアウトだ。
これでAF-S 24-85mmとAF 50mmF1.4Dを調整し直したので、もう一度(ちょっと本格的に)撮影してみた。今回も特別サービス?でフルサイズ画像にリンクしておく。(笑)
D7000 / AF-S Nikkor 24-85mmF3.5-4.5G ISO100 f8 1/160s(クリックで拡大)
D7000 / AF-S Nikkor 24-85mmF3.5-4.5G ISO100 f13 1/3s(クリックで拡大)
D7000 / AF-S Nikkor 24-85mmF3.5-4.5G ISO100 f8 1/200s(クリックで拡大)
やはりちゃんとピントが合っていれば変な片ボケが出ることはない。f5.6でも及第点の描写だが、被写界深度を考えるとf8まで絞ればまずは問題のない描写となる。
D7000 / AF Nikkor 50mmF1.4D ISO100 f5.6 1/500s(クリックで拡大)
一方、50mmF1.4Dの方はピントが合っていれば恐ろしいほどシャープな描写を見せる。f5.6でここまで写るのだから流石としか言いようがない。ズームレンズとは次元の異なる描写力だ。この絵を見せられると「使おう」という気にさせられるのである。
したがって50mmF1.4Dをメインで使うのであれば、D7000も生きてくる。ただしこの画角は非常に使いづらく、これ一本で撮れと言われても無理だ。このレンズが一番生きる場面はやはりポートレートだろう。しかしそんな趣味はない(笑)。まあ24mmF2.8Dとの2本持ちなら何とか使えるというところだ。あと70-200mmF2.8との組み合わせでスポーツなどを撮るのであれば、D7000の威力を遺憾なく発揮できるのだが、そんな機会すらない。やはり使い途がないのだ。
AF-S 24-85mmもピントの調整さえしっかりすれば普通によく写ることがわかった。ただそれはズームレンズとしてはあくまでも並の写りであって、50mmF1.4Dほどの凄味はない。この前もテストしたように、f8まで絞ればE-620のキットレンズと同等ということで、それ以上でもそれ以下でもない。だったらわざわざ不便を承知でD7000を持ち出す理由はないという結論になる。もし広角が足りなくて取り逃がす風景があったら悔しいではないか? 少なくとも広角~標準域で風景写真やスナップ写真を撮る限り、APS-Cはまったく不要で、フォーサーズやマイクロフォーサーズで十分という結論にどうしてもなってしまうのだ。APS-Cフォーマットを生かす道は、大口径レンズや望遠レンズを使ったボケを生かした撮影しかないと思う。しかしそういう趣味がないんだよなぁ。基本的にボケた写真は趣味じゃないから・・
というわけで、レンズを買えるまでD7000は2軍待機が決定した。ただレンズを買っても良くなる保証はないし、さらに重くなることは間違いないから、これ以上の投資リスクを回避する可能性がある。そうするとD7000の1軍昇格は永遠にない。年に数回50mmF1.4Dを付けて1軍登板のチャンスがある程度。あまりに登板が少ないと戦力外通告で解雇ということになる。一時はあまりの写りの悪さにすぐ売ってしまおうかと本気で考えたが、ピント精度の問題だったことがわかり、即売りは回避された。別に今すぐ売る必然性はないから、売るタイミングは次に何か買うときか、金に困ったとき(爆)。今のところ「現金の現物化」くらいにしか考えてないから、いざとなったらいつでも換金する。
ところでオリンパスとソニーの提携に関してこんな噂が飛び出してきた。オリンパスはソニーにOM-Dの5軸手ぶれ補正機構を供給する代わりに、ソニーはオリンパスにOM-Dのセンサーをさらに改良した次世代センサーを供給するという話らしい。そうするとますますAPS-Cは不要になってくる。今回も問題が表面化したように、位相差AFはどうしても機械的な誤差があるからミラーレスの方が圧倒的に精度が高いのだ。今さらニコンなんて買ってる場合じゃないという気がしてきた。(爆)
コメント
おお!、これです、やっとSonyのセンサーらしくなったとでも言いましょうか(笑)。やはり前回の撮影ではピントがズレていたのですね。あとは懸念されている焦点距離によって、特に近影の望遠ではズレも大きくなるでしょうから、その辺のテストでしょうか。
それにしてもOympusは凄いですね。ズームでも焦点距離別に調整が可能なんて、ちょっと見直しちゃいました。Pentaxもこれくらいやってくれればサービスセンター送りする回数も減るんですけどねぇ(笑)。本来は、本当のズームレンズ、焦点距離によってピントがズレないズームレンズがもっと普及するべきだったのかもしれませんね。普及しなかったと言う事は、きっと高価になるのでしょうね。
サードパーディで怖いのはこの個体差でしょう。うちのSigmaレンズ3本は全て当たりのジャスピンなんですよ、だから困った事はないのですが、DA17-70mm、現在、入院中ですし、Tamron 70-300mmはAF微調節で運用しています(ですから微調節機能の無かったK20Dでは丸で使えないレンズだったんです)。
>BigDaddyさん
これがSonyセンサーの写りというものですか?(笑)
なんか妙にスベスベした写りとは感じております。
そこまで精密にAF微調整できるのはオリンパスだけだと思うんですけど、昔は真面目にカメラ作ってたんですね。今はもう・・(笑)
ピントズレなんですが、意外と近接と望遠はズレないんですよ。
一番ズレが大きいのは広角の無限遠なんですね。たぶん被写界深度の深い状況が苦手ということですね。
像面でのわずかなズレが被写体側では大きく拡大されるためだろうと思います。
シグマは当たり外れが怖いですよね。最近オプションで調整キットなるものを出してきましたが、たぶんそういうことなんでしょう。(笑)
連投すんません。
Pentaxのレンズなんて像面湾曲をあえて補正していないようなものばかりなので、やはり広角の遠景は苦手っぽいです。
あと、最新のセンサーは知りませんが、K20DやK-7から、K-5のSonyの1600万画素を比較すると、確かにスベスベ感、クリア感があり、綺麗過ぎる像。これがノイズレスと、ダイナミックレンジの広さなんだと思っています。
Lightroomで現像の際、カメラプロファイルはAdobe Standardでしょうか、それともD7000用のを利用されていますでしょうか?。裏技で、K-5にD7000のStandardを用いると、ホワイトバランスが変わったり、像が引き締まり、加えて、明瞭度を+15にすると結構いい感じに仕上がるんです(Adobeに言わせるとAdobe Standardが一番色再現が良いらしいですが)。
ある意味、フィルムを基準に考えると、Sonyのセンサーは対極にあり、特にJPG撮影時、ダイナミックレンジが狭く、Sonyセンサーと比較するとノイズだらけのK20Dが一番フィルムっぽく、ISO400くらいのノイズの出方にドキドキしちゃったり(笑)、過去の写真を見て感じています。フィルム描写に固執する意味は無いし、レタッチすればどんなカメラでもど~にもでなるんですけどね(笑)。
Sigmaの調整キット。そうだ!、最新のSigmaレンズはこれがあるのでしたね。だったら怖くないかも!。
>BigDaddyさん
カメラプロファイル? そんなんあったんですね。言われて初めて気付きました。(笑)
今まで何もいじってないので、Adobe Standardのままです。
試しにD7000のLandscapeに変えてみるとシャドウが引き締まって良い感じですね。
色再現もこちらの方が好みです。
たしかにフィルムっぽいといえばE-620(というかパナセンサー)の方がノイズが乗っていてそれらしく見えますね。
立体感があると感じるのもノイズのせいかもしれません・・