元旅籠 2012年9月 E-PL2 / M.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6II
最近、廃村というものに興味を持ち始めた。何らかの理由で住民が集団移転し、誰も住まなくなった集落。そんな場所が全国には千以上もあるという。その中にはすでにダムの底に沈んでしまった村も含まれるが、現在も人知れず取り残されて何らかの痕跡をとどめている場所もある。そんな廃村を訪ねて「生活の痕」を感じてみたいと思ったのである。
今回訪ねたのは、三重県飯南町(現松阪市)にある「峠」の廃村である。ここは国道368号線沿いにあってアプローチは大変しやすく、誰もが知らず知らずのうちに通り過ぎるような場所だ。この道はかつての伊勢本街道であり、江戸時代から明治時代にかけては伊勢参りで大変賑わったという。その難所の一つとされた「櫃坂峠」の頂上にあり、数軒の旅籠があって栄えたといわれる。しかし徒歩交通が廃れるにつれて宿場としての役割を終え、戦後は林業を生業として生活してきたが、過疎化により昭和50年に廃村となった歴史がある。
現在7~8軒くらいの民家が残っているが、どういうわけか明らかに生活の匂いがする。車が停まっていたりするので、人が出入りしているのは間違いない。たまに帰ってきたりするのだろうか? 冒頭の写真は元旅籠だった重厚な建物だが、やはり手入れされている雰囲気がある。人は住んでいないようだが、そんなに傷んだりはしていない。
2012年9月 E-PL2 / M.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6II
とは言っても、どう見ても完全な廃屋というのも何軒かある。この建物もその一つ。
2012年9月 E-PL2 / M.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6II
トタンの屋根は完全に錆び付いて赤茶色に変色している。
2012年9月 E-PL2 / M.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6II
2012年9月 E-PL2 / M.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6II
崩壊した小屋もあった。
2012年9月 E-PL2 / M.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6II
林道との交差点付近にあった廃屋。
廃村というと何か薄暗いイメージを連想するが、ここは峠の近くにあって日当たりが良いし、時折車も通るのでそんなに寂しい場所ではない。人の気配もすることから、わびしさを求める向きにはちょっと物足りないかもしれない。