くすぶるニコンへの未練

投稿日:2012年10月6日 更新日:

デジタルカメラ


廃車 2012年10月 E-620 / ZUIKO Digital 35mmF3.5 Macro

このところE-PL2ばかり持ち出す機会が多かったが、久しぶり(というほどでもないが)にE-620を使ってみると、やっぱり光学ファインダーのある一眼レフはいい!と実感した次第である。この前の記事でも書いたように、E-PL2の液晶は屋外で見られたものではない。構図など当てずっぽうになるし、水平が傾いていても気づかない。フレアが出ようとピントを外していようとまったくわからない。こんなので撮影していると、本当に我慢大会になってしまう。

EVFを付ければ解決するかというと、それもまた違うように思う。いくら良くなったとはいえ、やはり電子回路が映し出す画像。タイムラグは生じるし、映像のリアリティーは光学ファインダーの比ではない。OM-Dのファインダーも覗いてみたが、しょせんこの程度かと思った。光学ファインダーとの間には乗り越えられない差があるのだ。たとえ倍率が低く、見づらいといわれているフォーサーズのファインダーであっても、EVFに比べれば100倍はマシである。


ちょっとした出来心でふらふらっとポチってしまったE-PL2ではあるが、その時はまだマイクロフォーサーズへ移行しようかなんて色気も多少残っていた。しかし、ここへ来てマイクロはやっぱりメインカメラにはなり得ないという考えに至った。それはたとえOM-Dであったとしても同じである。なぜそうなのかというと、ボディーが小さすぎるのだ。コンパクト性を優先するあまり、ボタン類が極端に小さくなり、操作性が大きくスポイルされている。現場では分厚い手袋越しに操作するようなイライラ感を強いられる。いや実際冬場は手袋をしたまま操作するのだから、それは決して比喩ではない。液晶の見づらさとも相まって、やはり我慢大会になってしまうのだ。

確かに登山のように極力荷物を軽量化したい時には多少の我慢をしても有り余るメリットがあるが、普段使いたいカメラとは思えない。やはりメインカメラは一眼レフでなければならないと思う。したがってマイクロフォーサーズへ移行という考えは急速に萎んだ。自分は標準ズーム1本あれば事足りる人間だから、レンズは14-42mm付けっぱなしでいい。これ以上マイクロに投資することはないだろう。それよりはマイクロじゃないフォーサーズの方に投資したい気分だ。

しかし! 元祖フォーサーズがいつ終わるかわからないのは周知の通り。オリンパスサイドではフォーサーズのレンズを活かせるボディーを開発中だとか、相変わらず思わせぶりな発言を繰り返しているが、本当に継続する気があるなら「活かせるボディー」なんて回りくどい言い方はしないはずだ。それは事実上の終焉宣言と思っていいだろう。たとえフォーサーズが終了してもレンズはいつまでも使い続けられるが、ボディーの方は新型が供給されない限り、いずれ寿命が来てしまう。もちろんE-620だって壊れない限り使い続けられるし、撮影される画像に何ら変化があるわけでもない。しかし他社のデジタルカメラが年々進化していく中で、取り残されたフォーサーズのカメラが吐き出す画像は相対的に劣化していくのである。使えたとしても、あと2年が限度だろうと思っている。E-5後継が出るとか出ないとかいう噂もあるが、たとえ出たとしても誰も買えないような値段ではないのと同じだ。自分は10万円以下のカメラにしか興味はない。

ここでまた振り出しに戻ってしまうことになる。フォーサーズに投資したくても、将来性が保証されない限り、それは「心中」に近いものになってしまうだろう。フォーサーズの熱烈なファンは誰もがそう思っているに違いない。そこで断ち切れないのがニコンへの未練だ。常に現れては消え、現れては消えるニコンの影が、いよいよはっきりとしてきた。もともとニコンのレンズ資産を多数持っているのだから、最初からニコンへ行くのが自然であったのが、なぜかフォーサーズへ行ってしまった。それはOMに始まるオリンパス愛とフォーサーズの思想に惚れたためだが、今やオリンパスは志半ばでフォーサーズを放り出し、マイクロへと完全に舵を切ってしまった。ユーザー不在の迷走劇に、もはやオリンパスに義理も未練も何もない。これ以上裏切られたくなければさっさとニコンへ行くべきだろう。いや、初めからそうしていればよかったのだ。何しろ50年以上守り続けたFマウントは、それこそニコンが潰れない限り消えることはないだろう。いつマウントがなくなるかわからないなんて心配は二度としなくて済むのだ。


一瞬ドキッとした(笑) 2012年10月 E-620 / ZUIKO Digital 35mmF3.5 Macro

そこで気になるのがDXフォーマットの将来性である。D600の登場により、ニコンはフルサイズ化へ大きく舵を切ったように思える。まず中級機以上はすべてFXフォーマットへ移行し、当分の間エントリー機はDXフォーマットで継続するという方針なのだろう。しかしいずれフルサイズセンサーが安価になり、さらにカメラの小型化が進めばエントリー機も含めて完全にFXへ移行という流れは誰にも予想できる。そこまで何年かかるかはわからないが、そう遠くない将来だろう。もともとAPS-Cというフォーマットはセンサーが高価だったために緊急避難的に生まれた規格であり、センサーが安くなれば意味をなさなくなるのは自明だ。デジタルに特化したフォーサーズは小型化という方向で生き残る可能性はあるが、APS-Cは時代の徒花としていずれ消えていくのは間違いないと思う。

ニコンへ行くならFXで、というのはもちろん理想だ。いずれニコンへ復帰するときのために、レンズは処分せずに残してあるのだ。それらが生きるのはフルサイズが前提であるのは言うまでもない。しかしいくらD600が身近な価格で登場したとはいえ、まだまだ手の届く値段ではない。最低10万円を切らなければダメだ。そこまで行くにはあと数年はかかるだろうから、それまでの「つなぎ」としてDX機を一台買うというのも悪くはないだろう。どうせデジカメなどいくら長くても5年しか使えない。それまでには確実にフルサイズが安くなっている。それから乗り換えても遅くはないのだ。何しろ自分はAPS-C機を一度も使ったことがないので、大きなセンサーへの憧れがある。とにかく大型センサーを体験してみたい、ただそれだけの理由だ。

そこで浮上してくるのが、これまで何度も出てきたD7000とD5100だ。ニコンユーザーの方には言うまでもないが、D7000は中級機で、D5100はエントリー機。どちらも同じソニー製の1600万画素センサーを採用しているから、画質的にはまったく同等だ。これはK-5に採用されているものとも同じだから、高感度特性の強さは折り紙付きだ。しかしD5100はボディーがプラスチックで安っぽく、ファインダーがペンタミラーで視野率100%ではないとか、ダイヤルが1つしかないとか、質感や操作性の面では差を付けられている。さらにD5100ではモーターを内蔵しないレンズではAFが効かないという制約も付く。それらをどう考えるかだ。

価格的には、現在D7000のボディーが65,000円前後、D5100の18-55VRレンズキットが40,800円程度となっている。どちらもモデル末期の超破格値と言っていい。非常にお買い得だ。D7000の方は超人気機種だから、おそらく一進一退であまり下がらないと思うが、D5100の方は雪崩を打って一気に4万を切ってくる可能性が高い。そうなるとポチらない理性が残っている自信はない(爆)。超緊縮財政のこの時にカメラを買うなど自殺行為でしかないのだが、今買わないと損という貧乏人根性がそれを妨げる(猛爆)。

D7000とD5100なら誰しもD7000がいいと言うに決まっているだろう。カメラにうるさい人ほど、少々高くても満足感の高い方を選べとのたまう。僕もフィルムカメラなら間違いなくそうするだろう。しかしデジカメはそうじゃない。しょせん3年程度しか使わない消耗品だ。ましてDX機はいずれ消えるだろうから、初めからフルサイズへ行くまでの「つなぎ」に過ぎない。写りが同じなら安い方がいい、と自分は考える。デジカメは結果がすべて、どうせすぐ買い換えるものに質感など求める方がおかしい。少々操作性が悪くとも、慣れれば済むだけの話。

D7000の悪いところを言えば、まずデカすぎること。コンパクトだとは言われているが、それはFX機と比べた場合の話であって、DX機としては十分大きく重い。あのくらいの大きさになると持ち出せるシーンというのが限られてくる。僕はカメラにとって最も重要な性能はコンパクトさであると考えているから、大きいカメラはそれだけでアウト。いくら高性能でもほとんど持ち出すことがなければ宝の持ち腐れなのだ。たぶんあの大きさならE-PL2ばかり使って、まったく使わなくなるのは目に見えている。車でしか持ち運べないカメラなんて存在価値がない。

D5100もそんなにコンパクトとは言えないが、ニコンとしてはまあ頑張った方だろう。E-620に比べて少し大きく、重い程度。厚みがかなりあるのが不細工ではあるが・・。まああのくらいが持ち運べる許容限度だ。ファインダーがペンタミラーなのはしょぼいが、E-620の小さいファインダーに比べればまだマシ。MFも十分できると思う。あれでMFできないと言ったら甘い。そしてD7000にはない特徴としてバリアングルモニターがある。E-620を使っているからわかるのだが、あれはローアングル撮影のときに大変便利だ。ニコンでは唯一のバリアングルモニターだし、なぜもっと採用しないのだろうかと不思議に思う。そして最も大きいのはレンズが付属するかどうかということ。D5100には18-55mmズームが付いてあの値段だが、D7000はボディーのみの価格だ。今持っているレンズはすべてフィルム用だから、DX機では望遠寄りになってしまう。広角が好きな自分には物足りない。はっきり言ってボディーだけ買ってもどうしようもないのだ。しかし、今からDX用のレンズを揃えるのは、フォーサーズに投資するのと同じくらい無駄ではないかと思っている。FX用のレンズをDX機に転用することはできるが、その逆はできない。だからすべてがFXに移行したときには無駄になる可能性が高い。それならDX用レンズはキットとして付属する18-55mmだけで当面しのぐという選択が賢明に思える。何度も言っているように、自分は標準ズーム1本あれば95%は撮れるし、望遠系は手持ちのレンズがいくらでも使えるのだ。それで不自由はないだろう。手持ちのレンズは大方モーター内蔵ではないので、AFが効かないという問題は残るが、別にMFでも構わないと思っている。AFにピントを外されるよりは、MFで責任を持った方が良いと考えるタイプだ。

そう考えるとD5100が有力になってくる。何と言っても軽さが魅力だ。あれ以上重いカメラは無理。結局使わないんならE-620の方がよっぽど良い。というか、考えれば考えるほどE-620は理想的なカメラに思えてきた。将来性の問題さえなければ・・。ああ、これでD5100が4万を切ったらポチってしまうのだろうか? 万が一、D7000が6万を切ったらグラグラッと来かねない。何とか思いとどまれるように、自分を説得する口実を考えているのだが・・(爆)

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