E-PL2でニッコールレンズを使う

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マイクロフォーサーズではフランジバックの短さを利用して他社のレンズを取り付ける、いわゆるオールドレンズ遊びが活発である。純正でもOMズイコーのレンズが使えるマウントアダプターが発売されているが、それ以外にもサードパーティー製のマウントアダプターは各社用に出揃っている。値段もピンからキリまであるが、とりあえず使えればよいというのであれば数千円の安いもので十分だ。自分は八仙堂からニコンFマウント用のアダプターを購入した。ニコンの場合、絞り環のないGタイプレンズに対応したアダプターも発売されているが、値段は少し高くなる。手持ちのレンズは絞り環のあるDタイプだから、通常のアダプターで問題ない。これを使ってAFニッコール50mmF1.4Dを装着してみた。マウントアダプターの嵩上げがあるから、およそ標準レンズとは思えない外観になってしまった。


このようなマウントアダプターを利用する場合、AFが効かないのは言うまでもないが、それ以外にも自動絞りが効かないことに注意が必要だ。どういうことかというと、通常の純正レンズでは常に開放状態になっていてレリーズ時のみ設定した絞り値に絞り込まれるが、それを手動でやらなければいけないということだ。つまり、ピントを合わせるときは被写界深度の浅い開放絞りで合わせ、シャッターを切る前に実際の絞りまで絞り込むという操作が必要になる。ただミラーレス機の場合は部分的な拡大表示ができるため、いちいち開放絞りにしなくてもピントが合わせられることが多い。だいたいf8くらいまでは十分ピント合わせが可能だから、初めから設定したい絞りに合わせてからピントを合わせても構わない。それともう一つ、AEロックをしてから絞りを変えてはいけないことに注意が必要だ。他社製レンズの場合、絞り値をボディー側に伝達する手段がないため、自動的にシャッタースピードを調整してくれないからだ。AEロックしたときのシャッタースピードで撮影されてしまうから、露出がおかしくなってしまう。これは意外と忘れやすいため、よく失敗をする。AEロックは使わず、絞り優先オートで露出補正を併用するのがよい。

オリンパス機の場合、マウントアダプターを経由した他社製レンズであっても手ぶれ補正が効くのは大きなメリットだ。手ぶれ補正を有効にするためには、マニュアルで焦点距離を設定する必要がある。この場合、135判換算ではなく、実際の焦点距離で設定する。

50mmF1.4はフォーサーズで使うと100mmF1.4相当の中望遠レンズになる。このようなスペックのレンズは見たことがないが、もしフルサイズ用に作るとなるととんでもなく高価なものになるだろう。望遠系の大口径レンズを容易に得られるのがフォーサーズの利点とも言えるだろう。最近はニコンからもデジタル専用の50mmレンズが新たに2本発売されたが、フィルム時代の50mmF1.4も描写には定評のあったものだ。これをフォーサーズで使うとどのような描写になるか試写してみた。


ISO200 f2 1/1600秒(クリックで拡大)

上の写真は絞りf2で撮影したものだが、フォーサーズにしてはよくボケていると言えるだろう。ピントは中央の柿に合わせているが、そこまでの距離は約3メートルだ。このくらいの距離になると、キットの暗いズームでは絞り開放でも中途半端なボケ方になってしまうので、やはり大口径レンズならではの描写である。


これは絞り開放f1.4で撮影したカットの等倍クロップだ。F1.4クラスの大口径レンズの常として、絞り開放では若干フレアが見られ、ソフトフォーカス気味の描写になる。被写体によってはそれを生かすのもありだろう。


これは絞りf2で撮影したもの。一段絞るだけでフレアはほぼ消え、クリアな描写になる。


f2.8まで絞るとさらに鮮鋭度が増し、カッチリした描写になる。


絞りf4で撮影。非常にシャープな描写だ。おそらくこのあたりで最高画質に達するものと思われる。


絞りf5.6で撮影。非常にシャープだが、ここまで絞るならズームと変わらないのであまり意味がない。


絞りf8で撮影。フォーサーズの場合、このあたりまで絞ると回折の影響が出始める。しかしこの写真では明らかにブレてしまった。ちなみにシャッタースピードは1/100秒だ。一般に言う手ぶれ限界に等しい。どうもオリンパスの手ぶれ補正は1/100秒前後が苦手らしく、補正し切れていない可能性がある。OM-D以外の手ぶれ補正機構はあまり信用しない方がよい。

というわけで、このレンズを使うなら絞りf2~f2.8で使うのが最も美味しいところといえるだろう。ただE-PL2をはじめ、オリンパスのマイクロフォーサーズ機は最低感度がISO200なので、晴天時にf2を使うのは難しい。少々ダイナミックレンジが狭くなってもいいから、なぜISO100を残さなかったのだろうか? このレンズを使うなら、ISO100が使えるE-620の方が相性は良いといえる。

マイクロフォーサーズで50mmF1.4に近いスペックのレンズといえば、オリンパスのMZD 45mmF1.8がある。オリンパスユーザー必携のレンズのように言われているが、どうも自分はあまり食指が動かない。というのも、いまいち使い途がはっきりしないからだ。標準ズームの望遠側と焦点距離がほとんど同じだから、コンビで使う意味もあまりないように思える。買うならやっぱり60mmF2.8マクロがいいような気がする。だから当面この焦点距離はニッコールで代用していこうと思っている(実はズイコーの50mmF1.8もある)。これも節約。

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