廃校/廃村

本宮町立四村川小学校久保野分校

投稿日:2016年7月3日 更新日:

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2016年7月 K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC

5月に続いて紀伊半島の廃校探索でまた新たな廃校を4件開拓してきた。そのうちの1件目は5月の探索で発見できず撤退した四村川小学校久保野分校である。あれから2ヶ月を待たずして再訪の機会を得た。

この廃校はいろんな意味できわめて希有な存在である。何と言ってもその立地条件が凄すぎる。普通に考えて学校などあるはずもない山の頂上にポツンと建っているのだ。そこへ到達するには自動車はもちろんあらゆる交通手段が使えない。険しい山道を徒歩で行くしかないのである。完全な山登り。昭和49年に廃校になるまで、実際にこの山道を子供達が歩いていたとは信じがたい。今の時代なら到底考えられないような過酷な通学である。

まるでイジメみたいな立地条件だが、山の反対側にある平治川の集落からも学童が通学していたことから、両方から通学するのに便利なようにわざわざ山の頂上に建てたというのが真相らしい。

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そんな立地条件であることから、この廃校に到達することはきわめて難しい。難易度で言えば超A級に相当するだろう。インターネット上の情報もきわめて少なく、1件だけ写真をアップしている方が見つかったのだが、正確な場所がわからない。前回失敗した原因は情報サイトの地図の位置が間違っていることに気づかず信じてしまったことにある。このような山道では目標物がないため位置を誤ることは普通にあり得る。そういう可能性も考慮しておくべきだったのだ。こういう時は地元の方に尋ねるのが一番確実なのだろうが、あいにく誰にも会わないのでどうしようもなかった。

今回は前回の失敗を踏まえて、もう一度国土地理院の地形図を精査し直すところから始めた。そんなにたくさん山道があるわけではないから、おおよその位置は絞り込めている。前回歩いた道とは別の道がもう一本あることに気づいていたが、どうやら地形から見てこちらの方が正しい気がする。そして山の尾根あたりに少し大きめの建物マークがあることに気づく。同じ場所をGoogleマップの航空写真で確認してみると、樹木に埋もれはしているが、かろうじて屋根のような構造物を発見できた。学校ということは民家と違ってかなり大きいはずである。これはかなり怪しい。今回はかなりの確信を持って場所の特定ができた。これで見つからなければ諦めるしかないだろう。

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入口となる久保野粟垣内は数戸の民家が残るだけの寂しいところである。道路を挟んで川の向こうに小さな神社が隠れるように建っている。神社の右横から廃校へ続く道が延びている。

もはや誰も通ることのない道だから荒廃していることが予想されたが、意外にも踏み跡はしっかりしていた。今でも林業の作業道として使われているのだろうか、ピンク色のリボンが巻き付けられているので迷うことはない。ところどころ倒木もあったが、特に難しい箇所はなく、核心の尾根に近づいていった。尾根に近づくにつれて勾配が急になってくるが、あと少しだからいやが上にも期待が高まる。そして最後のカーブを回り込んだところから、学校の建物が視界に入った。ついに発見した安堵感に包まれる。ここまで徒歩20分くらいだっただろうか、そんなに長い距離ではない。しかし標高差150mを登らなければならない。

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尾根への取り付きは道が消えていて難儀したが、強引に崖をよじ登って学校の敷地に到達した。そこにはおよそありえない風景が展開していて驚愕した。これは間違いなく学校なのだ。なぜこんな山の中に・・

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手前側に廊下があって、間違いなく学校であったことを窺わせる。

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奥に倒壊した屋根が見えるが、位置的に見て便所だったのだろうか? また中ほどには数少ない残留物であるストーブも見える。

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やはり長い廊下は学校の象徴である。床がなくなってはいても存在感は十分。

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学校にこのような看板があることは不思議な気がするが、一時は別の目的で使われていたのだろうか?

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恐る恐る中へ入ってみた。とりあえず土の上は安全。

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しかし中はひどい状態。

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床はほとんど腐って抜けてしまっているんだけど、天井は意外と頑丈なようでほとんど落ちていない。窓ガラスも大部分残っている。このクラスの廃校はいくつか見てきたが、その中では原形を保っている方である。立地条件からしてもっと早く倒壊してもおかしくないはずだが、やはり天井が頑丈だと雨の侵入から守ってくれるようだ。

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教材の類はほとんど残っていないが、唯一見つかった社会科と思われる教科書。

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懐かしの「はじめ人間ギャートルズ」の漫画本。これを知ってると歳がバレる(笑)。

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校舎の前には錆び付いた滑り台と雲梯が残る。

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このわずかな空間が運動場だったのだろうか?

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その校庭の奥には草に埋もれた遊具がひっそりと佇んでいた。

一度失敗しているだけに、再チャレンジで発見に成功したことは感慨深い。まさに執念と言えよう。これほど難しい廃校は初めてだったが、それだけに見つけたときの喜びはひとしおである。この廃校がきわめて特異な立地条件にあり、しかも昭和49年という比較的最近まで学童が通っていたという事実に驚きを隠せない。この場に佇んで往時の情景に思いを馳せるのも一興である。

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