PENTAX K-3 HDRの効果と深まる謎

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※リコーイメージングのモニターキャンペーンでお借りしているK-3を使用してレビュー記事を書いている。同じくモニターに当選された「So What? ~ 写真生活」のBigDaddy氏も新たなレビュー記事「Pentax K-3 レビュー その8 露出の傾向」をアップされたので参考にされたい。

正直、この記事をアップするべきか迷った。というのも、時間が足りなくてHDRの検証まで手が回らず、良いサンプルが撮れなかったからだ。しかしHDRは一応K-3で進化が見られる機能なので、やっぱりネタにしておこうと思った次第である。したがって、あまり良い例ではないが、とりあえずHDR機能を使って撮影した画像を元にほざいてみる。


まずK-3で何が進化したのかと言えば、HDRがRAWでも可能になったことである。K-30(もちろんK-5も)ではRAWあるいはRAW+モードにしているとINFO画面でHDRを選択することさえできなかったのだが、K-3ではそれができるようになった。ということはHDR合成した画像をRAWとして保存してくれるわけか?

それはさておき、まずは普通にJPEGで撮った結果を比較してみる。もちろんこれならK-30でも可能だ。

K3_HDR_off
K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED HDR OFF

これがHDRなしの写真だが、水面の強い反射に引っ張られてどうしてもアンダーな写真になってしまう。これほど明暗差があればデジカメではどうにもならないのは周知の通り。

K3_HDR_type1
K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED HDR TYPE1

しかしHDRのTYPE1(TYPE2, TYPE3の順で強くなる)にすると、沈んでいたシャドウ部の調子が出てきて肉眼で見た感じに近くなる。ただこの場合、単に眠い写真になっただけのような気もする。どうも我々の頭の中では1枚目くらいにコントラストの付いた状態が普通だと思っているので、むしろ不自然に思えてしまうのだ。

どっちが良いかは好みによるだろうが、この際それは議論にしない。とにかくJPEGで撮ればHDRの効果は明確にわかるということが大事。露出の異なる3枚の写真を合成しているのだから、当たり前の話だ。

しかしRAWでHDRってどういうことなんだろう? 基本的にRAWというのはセンサーから出力されたデジタル信号をそのまま記録したものにすぎない。だから何らかの処理を行ったものを保存って、そもそも矛盾しているのだ。手持ち撮影の場合、いくら高速連写しても必ず位置ズレがあるから、位置合わせをしてやらなければならない。当然その機能はあるが、もしやるとすればいったん現像しないとできないはずだ。また位置合わせをすると合わなかった部分を削る必要が出てくるから、必ず画像サイズは小さくなるはず。ところがRAWデータを見ると、画像サイズはHDRを使わない写真とまったく同じなのだ。これはどういうことか?

当初、HDRを使用して撮ったRAWデータは露出の異なる写真が3枚できるものと想像していた。そしてあとは現像ソフトを利用して勝手に合成して下さいね、ということなのだろうと思っていたのだ。それなら単なる露出ブラケットと同じだから理解できる。一枚一枚のRAWはあくまでも純粋なセンサーからのデータに過ぎない。しかし実際に撮ったデータを見ると、RAWファイルは1つしかできていないのだ。しかもその1つのRAWファイルの容量が普通の約3倍もある。ということは、3枚分のRAWデータが1枚に入っているということなのか?

問題はそのRAWデータをどうやって現像するのか?ということだ。まずLightroomで開いてみると、もちろん画像は見えるのだが、なぜか普通に撮った写真と同じなのだ。JPEGの画像とは明らかに違って、HDRがまったく効いていない状態だ。ということは、最初の1枚だけが見えているということじゃないだろうか? どうやって3枚の写真を合成できるのかがわからない。

もしかするとLightroomではだめで、専用のRicoh Digital Camera Utilityならできるのではないかと思って開いてみた。するとBrowserモードでは確かにHDR合成された状態が見えているのだが、Laboratoryモードに切り替えて現像しようと思った途端に普通の画像に化けてしまうのだ。やはりLightroomと同じく、1枚目だけしか見えていない状態だ。どうやって合成するのかわからない。Browserモードで見えている画像は、もしかするとRAWの中に埋め込まれているあらかじめ合成されたJPEG画像ではないかという気がする。

とにかくHDRで出力されるRAWファイルは、カメラ内でHDR合成されたものではないことは確かだ。もしそうならいったん現像した後で合成を行い、再びRAWデータに戻すという複雑な処理をしなければならない。しかも元より画像サイズが小さくなっているはずで、そんなことはあり得ない。考えるほど謎が深まる。

もしかするとDNGで撮ったからだめで、PEFだったら現像ソフトで合成できるということなのだろうか? すでに返却したから試しようがない。

コメント

  1. BigDaddy より:

    私もファイル容量が何故3倍?、と思っていたのですが、判りました。DCU5のツールメニューの中にHDR RAWの分解ってあるんですが、DNGでは使えないのでしょうか?。この記事を拝見して、自分で撮影したHDR写真、さっき初めて見ましたよ(笑)。まだ見ていない写真ばかりなんです。

    いやぁ、この記事、有意義でした。こうやって疑問を投げかけて頂けなかったら、放置していた事項です(まぁK-3を購入したらお客様センターに問い合わせしたでしょうけど)。

  2. 型落ちハンター より:

    >BigDaddyさん

    あ、ほんとだ。(笑)
    DNGでもちゃんとできましたよ。

    ただ、これって3枚のRAWに分解するだけなんですよね・・
    別に位置合わせされているわけでも何でもなく、ただ3枚のRAWが出てくるだけ。
    これじゃ露出ブラケットと何も変わらないですよね。
    むしろ分解する手間が増えただけ損したような・・(しかもえらい時間がかかる)

    しかも、3枚のRAWを合成するにはPhotoshopのHDR合成を使わないとできません。
    少なくともLightroomでやる方法を私は知りません。

    うーん、突っ込みどころ満載ですね・・
    ぜひネタにして下さいね。(笑)