ペンタックスのAFにおける怪しい挙動

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古くからのペンタックスユーザーには公知の事実なのかもしれないが、AFに関する怪しい挙動を発見してしまった。これに気づくきっかけになったのは、アサヒカメラのニューフェイス診断室の記事だ。何月号だったか忘れたけど、K-30の診断が載っていた号で「絞りを変えるとAFが微妙に動くのはなぜか?」というようなことをメーカーに対して質問していた。それに対する回答は「絞りによるピント移動があるため、それをAFで補正している」ということだった。これはメーカーの公式な見解だから間違いない。ちなみに、このとき使われていたレンズはDA 50mmF1.8だった。

そのことが頭の片隅にあったので、今さらながら再検証してみた。どうも今まで絞りによってピント位置が移動しているのではないか?と疑わせるフシがあったので、自分で確認してみたかったのだ。検証方法は非常に単純である。まず絞り開放の状態でシャッターボタンを半押ししピントを合わせる。撮影距離に誤差が出ないように、無限遠付近の景色を利用するのがよい。次に絞りをf11くらいに設定し、フォーカスリングに軽く指を添えたままでもう一度ピントを合わせる。その際、もしフォーカスリングが動けばどっち向きに回ったかも記憶しておく。そしてまた開放に戻してピントを合わせ、フォーカスリングが回るか確かめる。念のため数回繰り返した方がいいだろう。

この検証を手持ちのDAL 18-55mmF3.5-5.6ALで行ったところ、明らかに絞りによってAFが動くことを確認した。もちろん絞りを変えなくてもAFをやり直すことはたまにあるが、それとは明らかに異なる規則性があり、しかも再現性がある。何度も確認したから間違いない。この挙動は広角側でのみ顕著に発生し、望遠側ではほぼ起こらない。

検証の結果わかったことは、絞りを絞るにつれてAFは手前側に合わせようとすることだ。話がややこしくなるが、手前にピントを合わせようとすることは結果的に後ピンになっているということだろう。つまり絞り込むほどピントは後方に移動するということなのだ。おそらくレンズ内に補正テーブルを持っていて、ボディーとやりとりしながら自動的に補正する仕組みなのだろう。するとサードパーティーのレンズは対象外ということか?

これで今まで抱いていた疑問が解決した。絞りを変えてレンズの描写テストを行う際、普通は開放でピントを合わせた後、ピント位置が動かないようにMFで固定して行うのがセオリーである。そうでないと何をやっているのかわからなくなる。ところがそうやってテストを行うと、開放のときが一番シャープで、絞り込むほど甘くなるのがいつもの結果だった。もちろん回折の影響が出るほどの小絞りではない。そのため、このレンズはなるべく絞らずに使う方が良いのだなと結論付けていた。でも実際はそうじゃなかったのだ。絞り込むほどピントが後ろへ行ってしまうため、無限遠にピントを合わせたらどこにもピントの合っていない大甘写真になっちゃう。そのことに気づいていなかったから、絞ることを極度に恐れるようになってしまった。

やっぱりこのレンズは広角側に何かと問題が多いな‥。オールドレンズでは絞りによってピントが移動することは珍しくないようだが、現代のレンズでそんなことがあるのか? ちょっと信じられない。しかもAFでそれを補正しているとなると、MFは使えないことになってしまう。なぜならファインダースクリーンで見えているのは常に絞り開放の像だから、それで合わせてもAFみたいに補正はしてくれない。ピンボケ写真の量産になっちゃう。困ったもんだ・・。それにAF微調整なんてどの絞りでやるかによってピント位置がぜんぜん違ってくるから、何をやっているのかわからなくなる。もう何を信用していいのかわからなくなってきた・・

これはたぶんK-30だけじゃなくてペンタックスに共通する挙動だろう。気になるのは他のメーカーも同じようなことをやっているのか?ということだ。今どき絞りによるピント移動があるなんて普通は考えにくいが、もしあるとすればやはりAFで補正しているのだろうか? ニコンはもう手元にないから確かめようがない。オリンパスのE-620ではそういう挙動はないようだった。しかし、そもそも絞りによるピント移動があること自体が問題で、AFで補正しちゃえばいいなんて安易な考え方を持っているならば光学メーカーとしての姿勢を疑う。

ペンタックスは知れば知るほど奇妙な突っ込みどころが多いね(笑)。特にレンズはクセがありすぎ・・。ペンタックスを使うということは、そういうダメなところも含めて愛せるか?ということなのだろう。「あばたもえくぼ」と思えなきゃユーザーはやってられない。自分みたいな新参者にはそこまで根性もないし義理もない。しばらく使ったら沼から抜けられなくなるのだろうか?(爆) このままペンタックスユーザーを続けて良いのかまた微妙になってきた・・

コメント

  1. こんばんは!
    大変興味深い検証をされましたね。私はここまで気にしながら撮影したことはありませんでした。(笑)
    ここ最近また忙しくなってきてしまい(多分消費増税前の駆け込み)、撮影はおろかブログの更新も
    おろそかになりがちになってきてしまいましたが、そのうち時間が取れたら私も試してみようと思います。
    あっ、ブログではまだ公開しておりませんでしたが、新たに導入したカメラはD300とD3200の2台です。(汗)

  2. 型落ちハンター より:

    >ハンドル職人さん

    こんばんは。
    こんなことがあり得るとは思ってなかったんですけどね、ペンタックス恐るべし!です。(笑)
    ぜひニコンでも試してみて下さいませ。

    またニコン復帰されたのですね。
    最近D3200がむちゃくちゃ安いので気になります・・(笑)

  3. BigDaddy より:

    確かに試してみるとピントリング動きますね。

    絞り開放で前ピンになるのはレンズによっては収差の関係でそれは正常なんですよね。その為に収差を補正するレンズが入っている訳で、それをレンズ固有の情報を持っていて、収差に合わせてピント位置を変えているって事もあるかもしれません。となると他社でもレンズによっては動くかもしれませんね。

    私は癖で、構図を変えない限り、シャッターを半押ししたまま絞りを変更するので、その絞りによってピント位置が変化する、この動きが正常だとしても、絞りによってはそれでピントが大幅に狂う時があるって事ですね。K-3の広角でのAFの暴れってその可能性もあるって事だし、K-5でも時折ピントが合わないのはそうせいでしょうかね(笑)。

    うーん、いずれにせよ、私の撮影法では絞りによってピントがずれる筈ですから、次回の撮影から、絞りを変更する時は再度ピント合わせするようにします。良い情報に感謝!。

  4. 型落ちハンター より:

    >BigDaddyさん

    長年のユーザーの方はご存知かと思ってましたが、そうじゃなかったんですね・・
    やっぱりK-5でも動きますよね・・
    気になるのは、これが他メーカーでも普通なのか?ってことですね。
    そんな収差の多いレンズしか作れないとしたら、Pentaxはいったい・・?

    シャッター半押ししたまま絞り変えるって、ようやりません(笑)。絶対シャッター切ってしまいます。(^^;
    でもそれをやるとピントがずれてしまう可能性大ですね。

    ともかく、これで18-55mmのボケボケの原因が判明しました。

  5. Kan より:

    へぇぇ~、知らなかったです、絞りに連動するフォーカス。まあ私の撮り方(モードダイヤル{P.Sv,Tv,Av,・・・}は最初に決め、Avなら次に絞りを決めてからファインダーを覗いて構図を決めてシャッターを半押ししてフォーカス合わせ・・・)では問題起きないでしょう。

    けどっていうか、想定外の仕様にびっくりですな、恐るべしPENTAX。

  6. 型落ちハンター より:

    >Kanさん

    こういうことをするメーカーは初めて知りました。
    他社がやってないことをする生真面目さなのか?

    AvモードならAFで撮る限り問題なさそうなんですが、よく考えるとPモードやTvモードではどうなるんだろう?
    それを考えると夜も眠れなくなりそうです・・(爆)

  7. こんにちは!
    今日はとても風が強くて(しかも寒い)、屋外では撮影する気にもならなかったのですが、
    時間がとれる時でないとなかなかできないと思い、懸案事項でありましたAFの挙動について
    良い条件での撮影とはいえませんでしたが、家の中から外の景色を自分なりに撮って試してみました。

       使用カメラはD3200とD300
       使用レンズはAF-S DX 18-70mm f3.5-4.5G IF-ED
       三脚使用。ISO100。AFエリアは中央一点。焦点距離18mm。AFモード(AF-S)

    という設定で型落ちハンターさんが試された方法と同じように試してみました。
    私はAFモード(AF-C)以外はシャッターボタン半押しによるAFは行わず、通常はAFボタンによるAFを
    するのですが、今回は両方のやり方でもやってみました。

    で気になる結果はというと微妙に小刻みに動いてはいるのかな~という程度(ほとんど無)で、
    シャッターボタン半押しで何回かAFをON、OFFしながらの繰り返しで多少動くといったほどではありませんでした。
    ですので明らかにフォーカスリングが回ってピント位置を補正しているとは思えません。
    使用したレンズのフォーカスリングは筒内回転式のため外側のピントリングはAF中でも回らないため
    指で軽く触れて確かめることはできませんでしたので、距離窓からフォーカスリングの動きを確認しました。
    念のため同じ条件でD3200、D300二台とも試してみましたが、同じでした。
    もしかしたら使用するレンズによってはまたどうなるのかわかりませんが、少なくとも今回使用した機材に
    関しては絞り値によってAFでピントを補正しているとは考えにくいですね。

    余談  

    三脚で固定し、中央一点にピントを合わせた場合、W端でもT端でもピントの位置自体は変わらない筈ですが、
    W端(18mm)でピントを合わせたままT端(70mm)へズームすると少し前ピンになります。(その逆も)
    まぁ多分これはIF(インナーフォーカス)を採用したレンズの特徴かもしれませんが。(笑)
    ですので撮影直後に絞りを変えたり、焦点距離などを変えた場合、その都度ピント確認し合わせたほうが
    いいのかもしれませんね。(汗)

  8. 型落ちハンター より:

    >ハンドル職人さん

    わざわざ確認ありがとうございました。

    フォーカスリングが回らないレンズだとわかりにくいですよね・・
    D7000のときも気づきましたが、ニコンは常時AFを合わせ直しに行く仕様のようです。
    ですから半押しするとククッと微妙に動くのは正常な状態です。
    それは絞りを変えなくても動きますから、絞りによるAF補正とは関係ありません。

    やはりこんなことやってるのってペンタックスだけですよね・・
    絞りによるピント移動なんて本来あっちゃいけないことが普通にあるということです。
    当たり前ですが、今度買ったシグマの17-50mmでは絞りを変えてもピントは動きません。

    ズーミングによるピント移動は普通にありますよ。
    むしろないレンズの方が珍しいでしょう。本来ズームレンズはピント移動があってはいけないのですが、AF時代になってから各社ともピント移動はAFで補正すればよいという思考になっています。ですから厳密に言うとバリフォーカルレンズなんですね・・
    特に広角側で合わせてから望遠側にズームという使い方は絶対にやってはいけません。