SIGMA 17-50mmF2.8EX DCレビュー

投稿日:2014年2月17日 更新日:

レンズ

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K-30 / SIGMA 17-50mmF2.8EX DC 27mm f5.6 1/640sec ISO200(クリックで等倍表示)

やっと外で実写できたのでレビューしてみる。良いレンズというものは1枚撮れば実力がわかるものである。試写のときの印象はそのままに、やはり優れた描写力を示した。上の写真は16MPフルサイズで載せているのでクリックすると等倍表示する。絞りf5.6でこれだけ写れば文句はないだろう。

最初に操作性について。このレンズは17mm側で全長が最短になり、50mm側で最長になる。最近は中間域で最短になるものが多いが、広角側で最短になってくれると素早く収納できて扱いやすい。自重で鏡胴が伸びないようにズームリングにはロックレバーが装備されているが、結構固いので使わなくても伸びることはなかった。使い込むと柔らかくなってくるのだろうか? ピント合わせはインナーフォーカス方式を採用しているので、前玉は回転しない。AFは一応HSMを搭載しているが、いわゆるリング式ではなく通常の小型モータータイプを使用しているため、フルタイムMFには対応していないのが残念だ。AF/MFの切り替えはレンズ側のスイッチで行う必要がある。ボディー側では切り替えできないので注意。フォーカスリングの回転角はとても狭いが、幅は十分にあり、重さもそれほどスカスカではないのでMFは比較的やりやすい。ペンタックス純正と回転方向が逆なので使いにくいという声を聞くが、自分は回転方向など意識していないので気にならない(笑)。慣れたらこれが普通になるのだろうと思う。

最短撮影距離は0.28mと、17-70mmの0.22mに比べるとやや物足りない。それでも50mm側で名刺大までの接写が可能だから、日常的な使用には十分なマクロ性能だろう。一般的な標準ズームの最短撮影距離は0.25~0.30mだから、ごく普通のレベルだ。

では描写性能について、まず何かと問題になりやすい17mm側の描写について検証してみる。やはり切り抜くのがめんどくさいので丸ごと載せておく。ピントは一番奥の風景に合わせているので、手前側がボケるのは単なる被写界深度の問題だ。勘違いしないように。周辺部は右端の電柱あたりを見るとわかりやすいだろう。

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17mm f2.8(クリックで等倍表示)

開放では周辺光量不足がかなり目立つ。しかしf4まで絞るとほぼ解消する。そして中央部は開放から十分シャープだが、画面端から15%くらいまでの周辺部はやや甘いのがわかるだろう。これは像が流れるというよりフレアっぽい感じだ。これもf4まで絞ると大幅に改善される。

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17mm f5.6(クリックで等倍表示)

f5.6まで絞ると周辺光量不足は気にならなくなる。そして周辺の甘さもまず気にならないレベルになるだろう。これ以上望むならば、単焦点レンズでないと無理だと思う。DAL 18-55mmF3.5-5.6ALと違って変な像面湾曲がないので、絞れば良くなるのはまだ救われる。解像度的にはf5.6でピークに達するものと思われ、f8まで絞るとわずかながら甘くなる。

次に50mm側の描写を見てみよう。解像感がわかりやすい被写体を選んだ。ピントは後ろの木立に合わせてある。

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50mm f2.8(クリックで等倍表示)

開放では周辺光量不足が認められるが、17mm側に比べると多少マシだと思う。中央部は十分シャープだが、周辺部はやはり若干の甘さが認められる。これも像の流れではなく、コントラストの低下によるものだ。

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50mm f5.6(クリックで等倍表示)

そしてf5.6まで絞れば周辺光量不足は完全に解消し、さらにキリッとした描写になって解像度は周辺も含めて文句のないレベルになる。やはりf4から実用レベルになるのだが、f5.6で最高性能が得られる。

このレンズはズーム全域で焦点距離による描写力の差が少なく、非常に安定していると感じる。少なくともf4まで絞れば全域で実用レベルに達するし、背景をボカすような使い方では開放から使っても何の問題もないだろう。周辺光量不足は後処理でいくらでも補正可能だから気にするほどのものではない。

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17mm f8で撮影 (左)色収差補正なし (右)色収差補正あり

一つだけこのレンズの欠点を挙げれば、周辺で倍率色収差が目立つことだろう。これは絞っても改善しない。しかしこれもLightroomの色収差補正で完全に除去することが可能だから、気にするほどのことはない。ただJPEGでしか撮らない人にとっては、カメラ側で色収差補正が効かないので少し気になるかもしれない。またカメラ側の歪曲補正も効かないが、もともと歪曲はよく抑えられているので補正しなくても気になるほどではない。

ここまでであれば大満足だったのだが、一つ重大な問題が発覚してしまった。それは広角側でピントがまったく合わないという症状である。望遠側はきっちり合っているので何の問題もない。しかし広角側で合わせると、必ずと言っていいほどピントが手前に来るのだ。それもわずかなレベルじゃない。ファインダーで見ても明らかにボケているのがわかる。

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これが17mm側でピントチェックしてみた写真だ。このサイズじゃ見えないけど、中央のアンテナ塔にピントを合わせている。ところが拡大して見ると全然合ってないのだ。

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これが上の写真のピントを合わせた部分の等倍切り出し。これはもはやちょっと甘いというレベルじゃない。完全なピンボケ。おそらくピントは2~3mくらいのところに来ているだろう。念のため至近距離と往復させながら何度も繰り返してみたが、何度やっても同じ結果になる。ピントが合っているように見えるのは10回に1回くらいしかない。たまに合わないんじゃなくていつも合わない。これは明らかに変だ。

テスト撮影の段階でこのことには気づいていたので、今回の撮影ではピントは望遠側で合わせてから広角側に戻すことで対応していた。ズーミングでピントが移動するレンズなんて普通にあるが、このレンズはピント移動が全くない。完璧なまでに補正されている。そのこと自体は素晴らしい。だからこそこういう撮影法が可能になるのだ。望遠側でピントを合わせれば広角側でも最良のピント精度を出せる。しかしいつもこういう使い方をしなければならないのか?

問題はこれが個体差なのかということである。シグマは個体差が激しいと言われているので、当然そういうことはあり得るだろう。もちろんボディーとの相性もあるに違いない。しかし広角側でピントが合いにくいのはどのレンズでも同じ。やはり「規定の範囲内」という都合の良い言葉で片付けられるのではないだろうか?

やっぱり早速入院させるしかないのか? こういう場合、ボディーも一緒じゃないとダメなんだろうなぁ。それはちょっと痛い・・

2/18追記:K-30共々入院と相成った。トホホ・・

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