2015年4月 E-PL5 / M.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6II R
近年、世界遺産として知られるようになった熊野古道。まさにその真上、水呑王子と呼ばれる場所に三里小学校三越分校がある。地名をとって別名「水呑分校」と呼ばれることもあるようだが、三越分校が正式名称である。
この廃校はちょっと変わった経歴があり、昭和48年に閉校になった後、白浜町が買い取ってレジャー施設として運営されていた。裏手にはバンガローやテニスコートも併設されている。しかし経営は長くは続かず、現在は閉鎖されて無人状態である。
外観はご覧の通り真っ白に塗り替えられており、ほとんど学校の面影は残っていない。窓枠も新しいサッシに入れ替えられている。
玄関も洒落た洋館風に改装されている。
校舎の右手に回ってみると、少しだけ学校の面影が残っている。なぜかペンキを途中まで塗ったような形跡がある。これについては後述する。右手の建物はトイレで、渡り廊下でつながっている。この部分の扉だけは開いていて、トイレには入ることができた。現在、水は流れるし、きれいに掃除されているので今でも使われているのだろう。
目を引くのは校庭跡に作られた大屋根である。雨天でも食事などができるようになっている。テーブルと椅子が整然と並べられ、今でも営業していそうな雰囲気さえある。
玄関の窓から中を撮影した。結構きれいでそんなに荒れている感じはしない。以下、窓越しの撮影だから反射で白っぽくなるのはご容赦願いたい。
内部は大胆に改装されており、学校の面影はまったくと言っていいほど残っていない。
ここがフロントか? 一応、宿泊施設として運用されていたようである。したがって、廃校と言うよりは廃旅館と呼ぶべきだろう。
「プール入場料」と書いてあるけれども、その下を見ると実際は釣り堀として使っていたのではないだろうか?
トイレ横の窓から廊下を撮影した。やはり割ときれいに片付けられている。
最初は気づかなかったのだが、道路を挟んで向かい側にプールがあった。目測15mもないような小さなプールだけれども、藤棚があったりして開放的な雰囲気がある。
ところで、今この記事を書いている最中に新たな事実に気づいてしまったのだ。勝手にリンクを張らせてもらったのだが、次のサイトを見ていただきたい。
この記事の中に写っているのは、真っ白な校舎ではなく、古ぼけたいかにも廃校という感じの建物である。窓枠も木のままだし、庭には植え込みがたくさん見られる。どう見ても同じ建物とは思えない。しかも撮影の日付を見て驚いた。何と2014年3月23日撮影と書いてあるではないか!
ということは、真っ白に塗り替えられたのはごく最近ということになる。一部塗り残した跡があったのは、そのためだろう。もしかすると今年になってからかもしれないのだ。内部の写真も今とは違って荒れており、やはり最近になって片付けられたものと思われる。妙にきれいな感じがするのはそのためだったんだ!
今頃になってわざわざ塗り替えたということは、何らかの施設として再利用する計画があるのだろう。本来ならこんな山奥であるから、いったん閉鎖された施設をわざわざ再利用するようなことはあり得ない。しかしここは熊野古道だ。世界遺産フリークのハイカーたちがひっきりなしに訪れる場所。当然これに目を付けたに違いない。町おこしの一環として利用するつもりであろう。
開発の是非はともかく、塗り替えられる前の味のある校舎を見てみたかった。それがほんの数ヶ月前だけに、悔しくてたまらないのである。