ズイコーデジタル14-42mmズーム比較

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レンズ

フォーサーズアダプターMMF-2を購入してやってみたかったことが一つある。それはフォーサーズ用のZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6(以下ZDと表記)とマイクロフォーサーズ用のM.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6II(以下MZDと表記)の描写比較だ。どちらもまったく同じスペックの標準ズームだが、上の写真からもわかるようにその大きさはまったく異なる。ZDの方はフィルター径が58mmなのに対して、MZDの方はわずか37mmだ。さらにMMF-2の嵩上げ分を加えると、全長もずいぶん違ってくる。マイクロフォーサーズではフランジバックを短くしたことにより、レンズを小型に設計できることは理解できるが、それにしてもこれだけ大きさが違うと描写は変わらないのだろうかという素朴な疑問が湧いてくる。一般にフォーサーズの方が余裕のある設計ができるため、画質には優れていると言われる。

これまでZDはE-620で、MZDはE-PL2で撮影していたため、ボディーが異なる。そのため描写の違いはよくわからなかった。もちろんどちらも同じセンサーを搭載しているのだが、ローパスフィルターの効き具合には差があるらしく、E-PL2の方が解像感が高いことがわかっている。これは以前「E-620とE-PL2の解像感比較」で検証した通りだ。したがって、純粋にレンズの性能を比較するためには同じボディーでやらないと意味がない。MMF-2の導入でやっとそれが可能になったわけだ。以下、E-PL2を使ってテストした結果を示す。


まずは広角端14mmでの比較。いちいちクロップしたりするのが面倒なので、Lightroom4で現像したオリジナルの画像を載せておく。クリックすると等倍表示になるが、サイズが大きいので注意(閉じられなくなった場合はESCキーで閉じられる)。


MZD 14-42mmF3.5-5.6II 14mm 絞りf8


ZD 14-42mmF3.5-5.6 14mm 絞りf8

これだけ見てもその差はわかりにくいが、強いて言えばZDの方がコントラストが高く、カリッとした描写であることはわかるだろう。MZDの方は柔らかめの描写だ。ただZDの方はやや歪曲が見られ、周辺での色収差も若干大きい。

次は標準域25mmでの比較。なおZDでは焦点距離が少しずれて24mmになってしまった。ズームの指標が必ずしも正しいとは限らないので、このくらいは誤差と思っていただきたい。


MZD 14-42mmF3.5-5.6II 25mm 絞りf8


ZD 14-42mmF3.5-5.6 24mm 絞りf8

今度は素人目にも違いがはっきりわかると思う。明らかにZDの方が解像度が高く、コントラストもはっきりしている。特に遠景のシャープさは目を見張るものがあるだろう。手前側の周辺部でもZDの方がよく解像しているのがわかる。

もしかしたら同じなのかも?と思ったが、やはり描写の差はあるようだ。今回望遠側でのテストは行っていないが、広角側ではあまり差がないものの、標準~望遠域ではZDの方が良い描写をすることがわかった。まあこれだけ大きさが違うのだから当然ともいえる。やはりマイクロフォーサーズはかなり無理をしているのだろう。歪曲や色収差にしてもカメラ側で補正しているに違いない。それに対してフォーサーズは真面目に光学性能を追求しているから、周辺まで安定した描写をする。もともとフォーサーズはセンサーが小さいくせにレンズはでかいと揶揄されたものだが、それが売れない一因でもあったのは確かだ。しかし真面目にテレセントリック性を追求すればそのくらいの大きさになってしまうのはやむを得ないのだ。余裕のあるレンズ設計こそがフォーサーズの思想の真髄でもあったのだが、それが一般に受け入れられず、終焉の憂き目に遭っているのは悲しい。

さて、この結果を知って今後どうするか? もともとE-PL2はそのコンパクトさが魅力だから、わざわざアンバランスなレンズを付けて使うのも本末転倒な気がする。ZDを使いたければE-620に付けた方が明らかにバランスは良い。もちろんAF性能もだ。しかし解像感そのものはE-PL2の方が高いことがわかっているから悩ましい。ZDの方が望遠側で最短撮影距離が5センチ短いのもアドバンテージだ。あえてE-PL2にZDを付けるという組み合わせもアリか? こうなると、この期に及んでフォーサーズに投資という病気がまたぶり返してくる。(爆)

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