M.ZD 12-50mmF3.5-6.3EZ レビュー(実写編)

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ようやく晴れたので遠景の実写テストをしてきた。これで本レンズの実力が把握できた気がする。今回はすべての画像が16MPフルサイズなので、サムネイルをクリックすると等倍画像を表示する。オリンパスの画像処理は線が太いため、RAWで撮影してLightroomで現像している。また特に断りがない限り、ピント位置は一番奥に合わせている。以下、焦点距離別に見ていこう。

12mm


開放f3.5

開放では中心はシャープだが、周辺とくに左側がやや甘い。ただ像が流れているわけではなく、ぼやっとしているだけである。また周辺光量落ちは四隅で若干見られるが、それほど目立たない。


f5.6

f5.6に絞ると左端はやや改善された気がする。中心の解像感はほとんど変わらない。


f8

f8まで絞ると左端の甘さはほぼ気にならなくなる。ただ中心の解像感はやや低下してしまう。

したがって全体の均質性を重視するならばf8まで絞り、中心の解像感を優先するならばf5.6で使うのが良いだろう。

18mm


開放f4.3

開放では中心の解像感は非常に高いが、左端で像が二重に写る傾向がある。右端は問題ない。これは個体差の可能性があるだろう。


f8

f8まで絞ると左端の二重像は解消された。中心の解像感もそれほど低下しない。

25mm


開放f5.1

開放から周辺までほとんど問題のない描写をしている。おそらく25mm付近がこのレンズの最も美味しいゾーンだろう。


f8

f8に絞るとより鮮明になった感じがする。

50mm


開放f6.3

開放では左端で像の滲みが見られ、フレアっぽい写りをする。中心はなかなかシャープである。


f8

f8まで絞ると周辺のフレアっぽさは解消された。開放がf6.3であることから、できればf9まで絞った方が良いかもしれない。

まとめ

12mm端の開放はそんなに悪くない。むしろ18mmの方が悪いのは意外であった。開放から最も安定しているのは25~35mm付近である。50mm端ではフレアっぽくなってあまり良くない。しかしいずれの焦点距離においてもf8まで絞れば全体に問題のない写りとなるので、日中の風景を撮るには気にせず使える。

G VARIO 12-32mmF3.5-5.6 ASPH.との比較

同じく12mmから始まるPanasonicのG VARIO 12-32mmF3.5-5.6 ASPH.と同じ焦点距離で描写を比較してみた。

12mm


G VARIO 12-32mm 開放f3.5


M.ZD 12-50mm 開放f3.5

開放では12-32mmも周辺は甘いが、落ち込み方は12-50mmよりも少ない。中心の解像感も12-32mmの方が上回っている。ただし12-32mmは周辺光量落ちが激しいのが欠点。


G VARIO 12-32mm f8


M.ZD 12-50mm f8

f8まで絞るとどちらもほとんど変わらない写りになる。ただ強いて言えば、12-50mmの方が若干良い気がする。12-32mmはf8まで絞ると明らかに解像感が低下する。12mmではf5.6で使った方が良いだろう。

32mm


G VARIO 12-32mm 開放f5.6


M.ZD 12-50mm 開放f5.5

開放では12-32mmは左端が甘く、明らかに12-50mmの方が良い。12-50mmは開放から問題なく使えるレベルだろう。


G VARIO 12-32mm f8


M.ZD 12-50mm f8

f8まで絞るとほとんど変わらない写りになる。

まとめ

12mm端では開放から12-32mmの方が良いが、このレンズはどうも絞ると悪くなる傾向がある。f8まで絞るという条件付きであれば、全焦点距離にわたって12-50mmの方が優れていると思う。32mm端において12-50mmの方が開放から良いのは、ズーム端ではないから当たり前の結果だろう。

いずれにせよ描写力に大差はないと思って良い。これらのレンズにはそれぞれ得意分野があり、コンパクト性を優先するならば12-32mm、万能性を求めるなら12-50mmという使い分けができるだろう。

マクロ

以下にマクロ機能(43mm固定)を使った作例を示す。


f8


f7.1


f8

開放f値が暗いのは致し方ないが、ズームレンズのマクロ機能でこれだけの近接能力と解像力が得られれば上出来だろう。十分マクロレンズとしても通用する。

総評

解像力に関して言えば、他の大方のレビューで言われているのとほぼ同じで、広角側の開放では中心の解像感は高いが周辺が落ちる。そして25mmより望遠側では全体に均質になるが、解像感も全体に低下する傾向がある。ただそれで使えないというわけではなく、f8まで絞ればどの焦点距離域でも周辺まで問題のない描写となる。そういう意味では使いやすいレンズと言えるだろう。目を見張るようなシャープさはない代わりにこれと言った欠点もない。だから可もなく不可もなく「普通」のレンズという評価になってしまう。それを面白くないという人が多いのだろうが・・

このレンズの魅力は何と言っても12-50mmという必要にして十分な画角と、マクロレンズに匹敵する強力なマクロ機能にあると言える。描写力はとびきり良くはないが悪くもない。少々デカいとか操作性がイマイチという不満はあるが、汎用性を考えれば我慢できる範囲である。1本で済ませたい旅レンズとしては最適なレンズだろう。それも値段が高ければ魅力は半減するが、1万円少々で買えるという今の値段であればコスパは十分に高いと評価する。