E-PL2ファーストインプレッション(画質編)

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少しテストデータが集まったので、今回は画質面について評価してみたいと思う。なお、解像感などレンズに依存する部分は「M.ZUIKO Digital 14-42mmF3.5-5.6IIのレビュー」で評価しているので参照して頂きたい。

まずE-PL2の撮像素子はパナソニック製の1200万画素ハイスピードLiveMOSであり、E-620に採用されているものと基本的に同じである。したがって、画質的には同等と考えてよい。ただE-PL2では従来機種よりローパスフィルターの効きを弱くしたと言われており、解像感が向上しているとの噂がある。画像を等倍で子細に観察してみたところ、そう思って見るとそうかもしれないという程度の差しか感じられなかった。もちろんレンズの違いもあるのだが、実質的に目に見えるような差はないと思ってよいだろう。(後にE-620とE-PL2の解像感比較を行いました。こちらもご覧下さい。)

また画像処理エンジンはE-620がTruePic III+であるのに対し、E-PL2ではTruePic Vとなっている。IVはないので実質的に次のバージョンに当たるが、確かにその分の進化は感じられる。それは主に高感度特性の向上だ。E-620ではISO400も使いたくない感じだったが、E-PL2ではISO400は常用できるレベル、ISO800でも十分実用範囲と感じられた。ただし、それはJPEGで撮影した場合の話である。要するに画像処理エンジンの進化で「ノイズの消し方」がうまくなっただけのことで、最初からRAWで撮影して同じ条件で現像すれば結果は同じだ。


さて、E-PL2を初めて使ってみて気になった点が一つある。それはAWBが赤っぽいということだ。どうもオリンパスのカメラは伝統的にAWBがアンバー側に偏る傾向が見られる。これまで使ったE-520、E-620もそうだった。ただAWB自体は安定しているので、微調整で修正が可能なのだが、E-520ではA-B軸の補正を-1にし、E-620では-2にしてちょうどいい加減だった。ところがE-PL2は-2の補正でもまだ赤っぽさが抜けず、さらに補正が必要と感じられた。そこでA-B軸の補正を1段ずつ変えてテストしてみた。


その結果、補正0では明らかにアンバー被りが見られる。この写真を撮影した時間は午前10時頃であり、太陽が十分高い位置にある時間帯だ。したがって完全にデーライトと考えてよく、本来なら赤っぽくなる理由はない。青空の色を見ても濁りがあって抜けが悪いのがわかるだろう。結局、-3まで補正してほぼ見た目通りの色になった。


ちなみにこれはWBを太陽光に固定して撮影したものである。上のA-3の結果に最も近いことがわかるだろう。厳密にはRAWデータの色温度を比較すればわかるのだが、A-3でもまだ太陽光固定より色温度が若干高めであった。場合によっては-4まで補正が必要になるかもしれない。

青空の抜けを重視したいような場合、WBを太陽光に固定するのが常道であるが、その場合、日陰に入ると色温度が合わなくなる。フィルムの常識で言えば、日陰に入ると色温度が高くなって青っぽくなるはずなのだが、どういうわけかオリンパス機は逆に赤っぽくなる傾向がある。これもオリンパス機の謎だ。そのたびにWBをいじるのも面倒なので、やはりAWBに任せるのが楽である。そこで自分はもう常にRAWで撮影し、WBは気にしないことにしている。

次に高感度特性について検証してみる。いつも言われているように、フォーサーズのセンサーは高感度に弱く、APS-Cサイズのセンサーに比べると明らかな差がある。しかしISO3200とまでは言わないものの、せめてISO800は使えるレベルになってほしいものである。それが可能かどうか見極めるのがポイントだ。なお高感度ノイズ低減は画像処理エンジン側の処理に依存するため、JPEGとRAWでは結果が異なる。これについてもそれぞれ個別に検証した。一番知りたいのは「素」の状態でのノイズ特性だ。


これが比較に用いた画像の全体像。JPEGとRAWの違いを見るため、それぞれJPEG+RAWで同時撮影している。絞りはf5.6で共通だ。自分はノイズリダクションで解像感が失われるのが嫌いなので、カメラ側の高感度ノイズ低減は「弱」に設定している。それぞれ中央付近の花の部分を等倍で切り出した。


まずJPEGから見てみる。これはISO200だが、当然ノイズ感は感じられない。E-620ではISO200でもシャドウ部にノイズが浮いて見えたものだが、それはシャドウを持ち上げすぎることが原因と考えられる。E-PL2ではシャドウの持ち上げを抑えてノイズを少なく見せていると思われる。


ISO400。よく見ると若干ノイズ感が見えてくるが、気にするほどのものではないだろう。完全に常用範囲といえる。E-620ではここでギブアップであった。


ISO800。まだら状の色ノイズがはっきりわかるようになる。しかし解像感は失われていない。拡大率にもよるが、個人的には許せるレベルだと思う。ブレるよりはノイズの方がよっぽどマシなのだから。ここまでは実用範囲にしていいだろう。


ISO1600。さすがに色ノイズが目立ってくる。しかし被写体によってはまだ使えるレベルだと思う。少なくともE-620のISO1600よりは断然良い。

以上、JPEGの場合は画像処理エンジンの進化によるノイズ低減がうまく機能しており、E-620より1段以上改善されている印象がある。次にRAWで撮影してLightroom4で現像した結果を見てみよう。RAWで撮影するということは、画像処理エンジンを通さない「素」の状態と考えられる。それがLightroom4の強力なノイズリダクションによってどこまできれいになるかを見てみたい。


まずISO200。これは言うまでもなくきれい。


ISO400。ISO200とほとんど見分けがつかないほどきれいだと思う。完全に常用範囲だ。


ISO800。少し粒状感が見られるようになるが、解像感は失われていない。まったく実用範囲だろう。


ISO1600。粒子状のノイズが目立ってくるが、解像感はほとんど失われていない。人にもよるだろうが、個人的には実用範囲にしていいと思う。このような粒の揃った粒子感はフィルムをやる人なら気にならないだろう。

以上、やはりLightroom4のノイズリダクションは強力だ。JPEGよりノイズ耐性が1段は上がる感じがある。Lightroom4との組み合わせならISO1600まで実用範囲と考える。ただ、これはE-PL2のセンサーが高感度に強くなったというわけではなく、E-620でもRAWで撮ってLightroom4で現像すれば同じこと。高感度に弱いと言われているフォーサーズのセンサーでも、そのくらいのポテンシャルはあるということだ。

結論として、TruePic Vの恩恵によってJPEGでの画質はたしかに向上しており、JPEGオンリーの撮影でも特に問題はないと感じた。ただ、JPEGで撮るとどうしても線が太い感じになるのが気になる。これはアンシャープマスクの処理によるものだが、どのカメラでもシャープを強くかけ過ぎてエッジが太くなる傾向がある。自分はそれを嫌ってシャープネスを-1にして使っているが、それでも線の太さは消えない。これがLightroom4のような汎用現像ソフトになると、アンシャープマスクのパラメータを細かく調整できるため、線が太くならずに鮮鋭度を上げることが可能である。それだけでもRAWで撮る理由がある。また初めに述べたようにWBの偏りもあるし、ノイズ耐性は断然良くなるのであるから、常にRAWで撮っておいた方が何かと都合がよい。後処理が面倒だという声もあるが、Lightroom4なら一括処理ができるので、あとは放っておくだけで勝手にやってくれる。後処理でできることはそれに任せ、撮影時にはできるだけ余計なことを考えたくないというのが自分の考え方だ。