K-3 / smc DAL 18-55mmF3.5-5.6AL
※リコーイメージングのモニターキャンペーンでお借りしているK-3を使用してレビュー記事を書いている。同じくモニターに当選された「So What? ~ 写真生活」のBigDaddy氏も新たなレビュー記事「Pentax K-3 レビュー その6 K-3+DA18-135mm、果たしてその実力は?」をアップされたので参考にされたい。
これまでカメラが吐き出すJPEG画像を使いたくない最大の理由はシャープネスにあると言っても過言ではない。一般的に言って、カメラが出力したJPEG画像はシャープネスの線が太く、細部の解像感が欠如している。特に酷いのはオリンパス。デフォルトの設定では解像感のなさをごまかすためかシャープネスが強くかかりすぎてガチガチの絵になっており、しかもノイズをごまかすために細部を潰して塗り絵にしてしまっている。JPEGだとコンデジと変わらない安っぽい絵しか出てこないのだから、どうしてもLightroomに頼らざるを得ない。またニコンはニコンでデフォルトのJPEGだとものすごく眠い絵しか出てこなくて、シャープネスを強くかけるとやっぱり線が太くなって下品な絵になってしまう。いずれにしても精細感あふれる線の細い絵を得るためにはLightroomで再現像するしかなかったのである。
自分がペンタックスに興味を持ったのは、JPEGの絵作りが上手だと聞いたからである。何でもシャープネスが優れており、他メーカーのように線が太くならずに解像感を強調できるらしい。それでK-30にも期待を持ったわけだが、結果は裏切られた。JPEGだとやっぱりモヤモヤした眠い絵しか出てこなくて、Lightroomで現像したのと比べると明らかに精細感が劣る。シャープネスを強くしてみたり、ペンタックス独自のファインシャープネスなるものも試してみたが、やっぱり線が太くなってガチガチの汚い絵になるだけなのだ。
ところでK-30にはなくてK-3にあるものといえばエクストラシャープネスだ。Ricoh Digital Camera Utility 5にもエクストラシャープネスは装備されていないから、どうしてもK-3本体がなければ体験することができない。そこでちょうど良い機会だからエクストラシャープネスの威力とやらを試してみた。聞くところによると、エクストラシャープネスはファインシャープネスをさらに強くしたようなものらしいので、大して期待はしていなかった。どうせ線が太くなってガチガチの絵になるのだろうと予想していたのだ。ところが結果は予想を大きく裏切るものであった。
トップの写真と同じRAW画像からノーマルシャープネス、ファインシャープネス、エクストラシャープネスに設定して現像した結果を以下に示す。シャープ量はいずれも0のままにしてある。クリックで等倍表示する。
まずノーマルシャープネスとファインシャープネスの違いはほとんどないことがわかる。よく見ればファインシャープネスの方が心持ち強く効いている気がするが、ぱっと見て区別できるほどのものではない。ところがエクストラシャープネスとの違いは誰の目にも明らかだろう。木の枝などを見てもものすごい精細感がある。カメラの出すJPEG画像でこれほど線の細い絵を初めて見た。これならLightroomで現像した絵と比べても見劣りしない。逆にLightroomでこれだけのシャープ感を再現するのはなかなか難しい気がする。
なるほど、これならペンタックスのJPEGはそのまま使えると言っている意味が理解できる。エクストラシャープネスだけは他とはアルゴリズムが根本的に異なるのだろう。いわば門外不出の秘伝のタレ(笑)。それをエントリー機には載せず上位機だけの特権にするのはペンタックスのしたたかな戦略だろう。純正の現像ソフトでもエクストラシャープネスに対応していないのは、やはり戦略か? もしそうならオリンパス並みのケチ臭さと言えるだろう。(笑)
ただエクストラシャープネスにもやはり副作用がある。それは空など平坦な色の部分でノイズが目立ってしまうことだ。それはもうISO200ですでに顕著なノイズが見えてしまう。したがってエクストラシャープネスは使用シーンを選ぶということで、ポートレートや花のクローズアップのように平坦な部分が多い被写体には避けるべきである。自然風景のように緻密な被写体に使ってこそ威力を最大限に発揮する。
まあエクストラシャープネスはJPEGですべてを完結したい人には願ってもない武器となることだろう。ただやはり万能ではないのであり、自分ならより柔軟に処理できるLightroomに軍配を上げる。RAW現像の手間をかければ同等の結果を得られるのだから、エクストラシャープネスがあることだけを購入理由にはしない。
コメント
おっ!、エクストラシャープネスの長所、短所、判って頂けましたか!。そうなんです、空にノイズが乗るんですよね。だからISO100~400くらい限定で、空を多く構図しないか、森の中とか多分最高じゃないかと(笑)。ユーザーモードの1つに入れておくってのが運用として楽でしょうね。
A3ノビだと空の荒れは全く気にならないのですが、この大きさだとエクストラシャープネスの恩恵もほとんど感じないと言うジレンマがあります。
近々ネタにしますが、仮にエクストラシャープネスが門外不出の秘伝のタレだったとしても、DCU5にプラグイン機能を持たせて、プラグインでブラックボックス化されたこれを装備すれば良いだけの話なんですよね。Ricohの技術で盛り込まれたマルチパターンホワイトバランスも同じで、プラグインで提供すれば問題は解決する筈なんです。
うちのブログ、やっと次のネタ書き終えました。これから推敲に入ります。まぁ当分、こんな状態が続きますよ~(笑)。一応、今の予定ではあと8回くらい、2月初旬までレビューが続くかと思います。
>BigDaddyさん
エクストラシャープネスがなければJPEGの良さには気づかなかったんですよね・・
空の入らない森とかに使えば気持ちが良いでしょう。
オリンパスのドケチもそうですが、純正現像ソフトではたとえ有料にしてもすべての機種で同じ機能が使えるべきなんですよね。ユーザーとしてはソフトで済む問題でいちいちカメラを買い換えてられないわけですから・・。それをやったらメーカーが損するという考えを捨てなければダメですね。巡り巡っていずれは利益になるはずです。
まだ8回もあるんですか! うちはあと3回でネタが切れる予定です。これだけ書いたらRicohから表彰もんですよね・・(笑)