御杖村の廃屋 2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
リコーイメージングのモニターキャンペーンでお借りしていたK-3だが、3週間のモニター期間が終了して前日には返却しなければならない。これまで手近な風景でテスト撮影しかしてなかったので、目星を付けていた廃校でも撮ってみようと思ってちょっと遠出してみた。結果は空振りに終わったのだが・・(笑)
まあ今回は最後にK-3を使ったというだけで、レビュー的なことは何もない。せっかくだからLightroomを使わず、K-3が出力したJPEG画像をそのまま使った。露出・ホワイトバランスなど一切修正なし。カスタムイメージは「鮮やか」を使っているが、彩度とコントラストを1つ下げているので、おとなしめの絵になっている。
その前に、同じくモニターに当選された「So What? ~ 写真生活」のBigDaddy氏も新たなレビュー記事「Pentax K-3 レビュー その10 モアレ」をアップされたので参考にされたい。
いつしか廃校を撮るのが趣味になってしまったが、これまで撮ったのはたまたま出先で見つけて撮ったというのが多い。しかしそういつも廃校に出会えるとは限らないので、バリエーションを広げようと思えばあらかじめ目星を付けて行くしかない。ただどこに廃校があるかなんてのは網羅された情報があるわけではない。最近は風景写真など、どこそこへ行けばこんな絶景が撮れる的なムック本が出回っているが、そこまでマニュアル化されてしまうと面白くないのだ。やはり自分で情報を集めて探し出すところに廃校の醍醐味がある。
最近思いついた方法を紹介しよう。古地図を入手すること自体が難しいので誰にでもできるわけではないが、少し古い国土地理院の地形図が手元にあればよい。昭和末期~平成初頭くらいのものがあればベター。平成に入ってから廃校になった学校がかなり多いからだ。その地形図上で「文」マークを探しまくる。少し大きめの集落ならたいてい一つや二つは見つかるはずだ。もし二つ見つかれば、それは小学校と中学校があることを意味する。そして同じ場所をGoogleマップで照合してみる。もし現存する学校であれば必ず学校名が表記されている。何も表記がなければ、すでに廃校になっているということだ。さらに衛星写真に切り替えると、校舎の存在を確認できる。学校なら必ず運動場があるのでわかりやすい。プールなんかあれば確実だ。衛星写真に写っているということは現在も存在している可能性が高い。木造校舎か鉄筋校舎かもある程度判別できる。こうやってまだ見ぬ廃校に思いを馳せるのだ。
そこで未知の廃校を3つばかり見つけたので、現地を偵察しに伊勢本街道へと車を走らせた。
2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
まず最初に訪れたのが奈良県御杖村の菅野地区。衛星写真からもはっきりと木造校舎の存在を確認できたが、明らかに整備されている雰囲気があったので、これは外れだろうと予想していた。そして現地を確認するとやっぱり。現在は「ふるさと交流館」として利用されているようだ。もちろん解体されずに再利用されているのは良いことなのだが、ここまで整備されちゃうとキレイすぎて写真的には魅力がない。写真家なんて勝手なものだ・・(笑) それにしてもこの場所は何度も通っているのに今まで学校の存在にすら気づかなかった。
2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
そして県境を越え、三重県へ。旧美杉村に入ったあたり、衛星写真でプールの存在を確認していた。旧伊勢地中学校と思われる。校舎はすでに解体されたのか、鉄筋の比較的新しい建物だけが残っていた。現在は集会所として使われているようだ。プールは手付かずのまま放置されていた。廃プールは防火用水として利用されていることが比較的多いが、ここは正真正銘の廃。この錆び具合、良い感じだなぁ・・
2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
廃プールのお約束として、危険防止のため必ずフェンスで囲まれている。一眼レフの太いレンズでは金網の隙間に突っ込むことができないのだ。フェンスの上に手を伸ばしてライブビューで何とか撮れた写真がこれ。凍っている(笑)。またマイクロフォーサーズで出直さなきゃ・・(^^;
この後、本命と目を付けていた旧美杉村の某所へ。衛星写真には立派な木造校舎が写っており、大いに期待が高まったのだ。しかしその場所を訪れてみると、人気はなかったが明らかにまだ使われている雰囲気がある。しかも学校のようだ。元は公立の中学校だったと思われるが、その後民間に払い下げられたのだろうか。地図にも載っていないし、ネットを探しても何も情報がない。謎の施設。(笑)
というわけで、今回の廃校探しは全滅(笑)。まあこんなことはしょっちゅうなので、めげちゃいけない。廃校になった後も別の目的に再利用されているケースは意外と多い。もちろんそれは望ましいことである。しかし廃写真家にとって最も魅力的なのは風雨に晒されて朽ち果てた木造校舎。そんな絵に描いたような美しい被写体にはそうそうめったにお目にかかれるものではない。だからこそ廃校探しは面白いのだ。
2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
気を取り直して、名松線の終着駅・伊勢奥津へ。今となってはまったく意味のないものだが、SL時代の給水塔が今も残されている。
2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
まるで廃線跡みたいだが、廃線じゃないんだ。2009年の台風による被害で橋脚が流失し、現在も不通のままになっている。一時は廃線の危機に直面したが、地元の努力により復旧が決定し、修復工事が始まっている。復旧は2年後の予定。5年も放置しておくとこうなるんだな・・。本当に廃線になったら線路は撤去されちゃうから、ある意味貴重な風景かもしれない。
2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
伊勢奥津駅前の有名な「ぬしや」
重厚な扉 2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
廃な土蔵 2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
いつの時代かわからないものに時々出会う。
2013年1月 K-3 / smc DA 18-135mmF3.5-5.6ED
奥津宿では家ごとに往時の屋号を再現した「のれん」を掲げている。
これでK-3での撮影は終了。やっぱり3週間じゃほとんど使えなかったなぁ。今は一番撮るものが少ない。紅葉か桜の季節だったらもっと多くの写真を残せたのに・・。タダで使わせてもらったのだから贅沢言っても仕方ないか。(笑)