結局、PENTAX K-3は買いか?

投稿日:2014年1月25日 更新日:

デジタルカメラ

K-3を返却して2週間近く経ったが、予想通りK-30がしょぼく見えて仕方がない(爆)。特にしょぼいのがシャッター音。K-30単独なら別に気にならないのだが、K-3と比較するとどうしても歯切れの悪さを感じる。それと外装の質感も全然違う。特に冬場は触ったときのひんやりとした感触に金属を実感するのである。もっとも音で写真を撮るわけじゃないし、外装で写真の出来が変わるわけじゃない。そんなのは初めからわかり切っていることだから、割り切って使えばどうでもいい些細なこと。

いまK-3に注目している人は、やはりK-5あるいはK-5II/IIsからの乗り換えを検討している人が最も多いのだろう。K-5系と比べてどこが進化したかが一番知りたいはず。ただ自分はK-5系を一度も使ったことがないから、それに答えることはできない。一方K-30は下位機種だから、上位機種のK-3があらゆる面において優れているのは当たり前の話。K-30から買い換える価値があるかと言われれば、当然あるとしか言いようがない。でもそれを言っちゃ身も蓋もないんだ。ここではK-30/K-50からの乗り換え、あるいは他マウントからの新規導入という観点で考えよう。

まずK-30と比較して個人的に良いと思う点は次の5点だ。測光モードの選択ボタンがあること、光学プレビューレバーがあること、ISO AUTO時の感度の上がり方を選択できること、AF/AEロックボタンが独立していること、そしてダストリムーバルが超音波方式になったこと。

1. 測光モードはそんなにしょっちゅう切り替えるものではないが、やはり撮影に直結する機能だからメニューに入らずダイレクトに変更できることが望ましい。

2. 光学プレビューはK-30でもRAW/Fxボタンに割り当てることができるが、そうするとデジタルプレビューが使えなくなってしまうので、やはり光学プレビュー専用のレバーは欲しい。デジタルプレビューではボケ具合なんて確認できないからだ。

3. K-30のISO AUTOは割とすぐ感度を上げちゃうようだけど、自分はできるだけ低感度で粘りたい方だから感度の上がり方を制御できるのは羨ましい。実際K-3を使用中、感度の上がり方を遅めに設定していたが、日中なら曇り日でもISO400以上に上がることはほとんどなかった。

4. ペンタックスはなぜか親指AFとAEロックが共存できない仕様になっている。メニューでどちらかを選ぶしかできないのだ(ニコンやオリンパスは親指AF時もシャッターボタンでAEロック可)。したがって従来のボタン1つではどうにもならなかったのだが、K-3でAFとAEロックボタンが独立したことによってやっと可能になった。

5. K-30のダストリムーバルは手ぶれ補正機構を利用した機械振動式だが、はっきり言って効果はほとんどないらしい。カタカタ派手に音がするからいかにも効いているような気がするけど、ほんの気休めにすぎない。長いこと使っているとセンサーにゴミが付いちゃうことが一番心配なのだ。今どき超音波式でないのはペンタックスくらいだから、やっと他社並みになったということか。

まあ以上の点は上位機種だからこそ操作性の面で差別化しているわけであり、あれば便利だけどなければ絶対困るという点ではない。それに対してK-3で決定的に不快な点が2つある。それは重さと2400万画素だ。K-3はフラッグシップ機としてはかなりコンパクトに仕上がっており、その点は素直に評価しよう。それは他社にはない大きな特徴と言える。しかし大きさの割にずっしりと重いのだ。それだけ中身が詰まっているということなのだが、K-30の軽さに比べるとこの重さはかなり負担が来る。特に18-135mm以上の重いレンズなんて使いたくなくなる。自分にとってはそれだけで使えるシーンが一気に減っちゃうのだ。D7000の二の舞になりかねない。少なくとも山には持って行きたくないことは確実。大きく重いカメラはクソ以下と評価する自分にとって、これは致命的な欠点。

そして物理的な重さだけでなく、2400万画素の「重さ」をどう考えるか? 確かに2400万画素・ローパスフィルターレスの解像感は凄いものだと思う。少なくとも画素数に見合っただけの解像感は十分実感できる。しかし、それだけの画素数が本当に必要なのか? 普通の人間はA3ノビ以上にプリントする機会なんて一生ないのだから、無駄すぎるんだ。そんなのはPCで等倍鑑賞して粗探ししたい人間を喜ばせるだけのスペック。むしろレンズの欠点が余計に目立っちゃって不快になること請け合い。

その画素数と引き替えに失うものが「軽快さ」だ。もちろん、自分は一生JPEGでしか撮らないと宣言できる人には関係のない話。JPEGなら何も2400万画素で撮る必然性はなく、必要に応じて小さいサイズを選べば済むだけのことだからだ。しかし常にRAWで撮る人間には嫌でも2400万画素で撮ることを強要される。すると一枚あたりのファイル容量が30~36MBにもなってしまう。これがK-30なら一枚あたり12~16MB程度。14ビットであることも効いているのだろうが、容量が2~3倍にも膨れ上がってしまうのだ。将来的にこれだけの大容量をバックアップし続けることの困難さを一度考えてみた方がいい。

RAW現像するときも2400万画素だとものすごく時間がかかる。一つパラメータを変更するたびに長い待ち時間が生じ、イライラさせられる。RAWで大量に撮ろうもんなら、後処理にかかる時間を考えると憂鬱になる。比較的新しいPCでもそうなのだ。ましてや古いPCで実装メモリが少ないと現像できない可能性すらある。そうなるとPCの買い換えにもまた新たな費用がかかる。いや一番損してるのはやっぱり時間なんだ。それだけ自分の時間を奪われたことに等しい。時給に換算していったいいくら損したのか考えてみた方がいいだろう。

結論は、JPEGでしか撮らない人、A2以上の大型プリントを日常的にする人、最新スペックのPCを持っている・あるいは買う予算がある人、一生データをバックアップし続けられる自信のある人、そして後処理にいくら時間を費やしても構わない人は迷わずK-3に乗り換えたらいいと思う。しかし、一つでも当てはまらない人はちょっと待った。2400万画素の重さが必ず不快になるはずだ。自分がそれに耐えられるほどの忍耐力を持っているかもう一度考えてみよう。

自分はモニターを体験してみてK-3欲しい度が一気に下がった(爆)。確かにカメラとしては素晴らしいし、従来機種からの進化も十分感じられるのだが、自分には物理的な重さと2400万画素の重さがすべての美点を潰してしまうのだ。現時点ではK-30から積極的に買い換える理由が見つからない。他マウントからの乗り換えにしても、現時点で約11万円の実勢価格は割高感があり、それなら価格のこなれたニコンD7100の方が魅力的に映ることは否めないだろう。

だからこそもう一度声を大にして言いたい。機能はそのままで1600万画素に減らしたK-3ジュニアを出してくれ!と・・。軽量化のためならプラスチック外装でも構わない。K-5IIをまだ併売するんなら、ちょっと改良したK-5IIIでもいいよ(笑)。K-30一代限りで終わるのか、今後もペンタックスユーザーを続けるのかは、そこにかかっている。このままじゃ価格のこなれたK-5IIsが次のターゲットになっちゃう・・(^^;

K-3関連のレビューはこれでひとまず終了する。以下に同じくモニターに当選された「So What? ~ 写真生活」のBigDaddy氏のレビュー記事をリンクしておくので、こちらも参考にされたい。

Pentax K-3 レビュー その11 K-3にSigma 17-70mmF2.8-4(旧型)
Pentax K-3 レビュー その12 コーヒーブレイク レタッチでシャープネスを考える
Pentax K-3 レビュー その13 K-3にDA17-70mmF4AL
Pentax K-3 レビュー その14 K-3にFA単焦点レンズを装着すると・・・
Pentax K-3 レビュー その15 K-3に望遠ズーム装着する
Pentax K-3 レビュー その16 K-3のHDR AUTOよりも・・・
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Pentax K-3 レビュー その18 K-3にオールドMFレンズの描写
Pentax K-3 レビュー その19 K-3にDA-L18-55mmF3.5-5.6ALを付けると・・・

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