PENTAX K-30 ファーストインプレッション(機能編)

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操作面のレビューは前回大方書いたので、次は機能面のレビューに移ろう。まずAFだが、前回書いたように速度については申し分ない。精度だけれども、これも概ね良好で実用上問題ないレベルと感じている。少なくともD7000みたいにどこにもピントが合っていないボケボケの写真が撮れることはない。ただ厳密に追い込むにはやはり微調整は必要である。キットレンズとの組み合わせではわずかに前ピン傾向が見られるようだった。微調整はレンズ個別に設定することができて、最大20本まで登録できる。それはいいのだが、オリンパスやニコンは±20段階あるのに比べて±10段階なのがちょっと少ない気がする。もちろん補正範囲とは直接関係ないだろうからどっちが良いというわけでもないが・・。それと+と-のどちらが前ピン後ピンに相当するのか、説明が何もないので最初は戸惑った。普通に考えれば+が後ピンになりそうだが、実は-が後ピン方向への補正だった。これはちょっと不親切な仕様ではないか・・


AF微調整で難しいのは、至近側と無限遠側で補正量が異なるケースがあるということだ。実は前ピンといっても至近側では無調整でほぼ合っており、あえて調整する必要はない。問題になるのは18-55mmの広角端で無限遠の場合だけなのだ。このとき補正なしではピントがやや手前に来る傾向がある。望遠端では問題ない。要するに被写界深度が深く、MFでもピント合わせが難しい場合は、ピントの合う範囲が広いため、その範囲内で誤差が生じてしまうということだろう。実際MFでフォーカスエイドしてみると、かなり広い範囲で合焦マークが点灯しており、ある程度幅があることがわかる。その中のどの位置で止まるかは不定であり、それが誤差の原因となる。これをできるだけ無限遠寄りに持って行くには-8くらいの後ピン補正が必要だったが、それをやりすぎると今度は至近側で後ピンになってしまう。だから今は-6補正にとどめている。どうしても無限遠をシビアに出したい場合はMFするのが一番確実。

ライブビュー時のAFは他社に比べて驚くほど速い。なぜ他社はあんなに遅いのか不思議なくらいだ。ただライブビューでのC-AFというのはできないようだ。それをあきらめた分、速くなったということなのか? MF時はOKボタンを押すと拡大表示できるのだが、最大倍率が6倍というのはちょっと低い気がする。広角で正確にピントを合わせるのは厳しい。それと一部の人が言っているように、ライブビュー時にMENUボタンやINFOボタンを押すとライブビューが解除されるという問題がある。要するにライブビュー画面とメニュー画面を重ね合わせできないということなのだろうが、他社のカメラを使っていた人間にはちょっと面食らう仕様ではある。

液晶モニターは屋外ではちょっと見づらいが、色の再現性はかなり良いと思う。家に帰ってからPCで見てもそれほど落差がない。オリンパスだと背面液晶ではきれいに見えすぎてPCで見るとガッカリということが多いのだが、そういうことはあまりない。ただアスペクト比が4:3なのは上下が切れて無駄な気がする。何でこういう仕様になっているのだろうか?

次に手ぶれ補正機能について。自分は手ぶれ補正はボディー内蔵に限ると考えており、それがペンタックスを選んだ理由でもある。気になるのはオリンパスに比べて効きがどうなのか?ということだ。どうもあまり効いてないような気がするのでちょっと実験してみた。300mm相当で1/60秒という確実にブレそうな条件で手ぶれ補正あり/なしで比較してみたのだが、補正なしではほぼ全滅なのに対して、補正ありでは歩留まりが半分程度まで向上したので、やはり2段分くらいの効果はあると思ってよさそうだ。また手ぶれ補正でよく問題となる1/125秒付近の誤動作が気になるのでやはり実験してみたが、ブレを誘発しているような現象は見られなかった。したがって手ぶれ補正は常時ONのままで使って問題ないと考える。E-620と違って手ぶれ補正専用のボタンがないから、できるだけ切り替えはやりたくない。

電子水準器を内蔵しているのもエントリー機としては珍しいアピールポイントだが、実際に使うかとなるとちょっと疑問が残る。というのも水準器を表示させるとファインダー内で露出補正値がわからなくなってしまうためだ。まあどのメーカーでも露出バーに水準器の表示を兼用させているためそういう問題は起こるのだが、この辺はEVFを使用するミラーレス機の強みではあろう。この問題を避けるには、前ダイヤルに露出補正を割り当てるをやめて、通常通り露出補正ボタンを押しながら後ダイヤルを回す操作にすれば、ボタンを押している間は露出補正値が表示されるため問題ない。そして前ダイヤルにはISO感度の変更を割り当てるのが実用的かもしれないと思った。でないと遊んでいる露出補正ボタンがもったいないのだ。(笑)

自動水平補正についてはちょっと試してみたが、効果があるのかないのかよくわからなかった。最大±1度ということだから、目で見てわかるほど傾いていると効果はないということなのか? まあ変に誤動作すると困るから、この機能は使わないでおこうと思う。構図微調整についても操作がめんどくさく、三脚の雲台を動かす方が早いと思うから使わないだろう。(笑)

ホワイトバランスについてはAWBが非常に優秀と感じた。少なくとも晴天の屋外であればAWBのままで変な色が出たことはない。青空の抜けが良く、実に気持ちのいい色が出る。オリンパスだと変なアンバー被りが出たりして、太陽光固定にしないと信用できなかった。ニコンもよく言われるように黄色被りが気になることがある。そのことを思えば非常に信頼感があり、ずっとAWBに任せて撮ることになるだろう。ペンタックス独自のCTEについてはまだ試してないので、そのうちやってみるかもしれない。

ペンタックスの分割測光はいい加減と言われているが、K-30の分割測光はなかなか優秀である。もちろん背景が極端に明るかったり暗かったりすると補正は必要ではあるが、それでも予測を裏切るような動作はしておらず、概ね±0.7EV以内の補正で収まっている。自分はもともと分割測光を信用していなくて中央重点測光派だったのだが、これなら分割測光を常用してもいいと思う。少なくともニコンやオリンパスに比べて劣るものではない。

あとAF/AE-LボタンがデフォルトでAFスタートに設定されているのは少し変だなと感じた。つまりシャッターボタン半押しでもAF/AE-LボタンでもどちらでもAFが起動するようになっている。親指AFにしたい場合は逆にシャッターボタン半押しは殺したいはずだから、何を意図しているのかよくわからない。自分はもともと中央重点測光でAEロックを多用する方だったから、当然AEロックに割り当てている。AF/AE-Lボタンは4通りにカスタマイズできるが、これもオリンパスほど細かく設定できないのがちょっと残念な点。

最後に動画についてはまた別の機会に改めて検証したいと思うけれども、K-5系よりは進化しており、1920×1080で30fpsの動画を撮ることができる。1280×720なら60fpsも可能だ。しかもエンコード形式はH.264を採用しているので、MotionJPEG方式より大幅に容量を小さくできる。動画専用ボタンというものはなく、モードダイヤルを動画に切り替えてシャッターボタンでスタートする方式。ただ残念なのは音声がモノラルマイクのみで外部マイク端子も装備されていない点。これがK-01だと内蔵マイクはステレオな上に、外部マイク端子まで装備しているのがうらやましい。なぜそんなことにこだわるのかというと、演奏風景を撮るのにマイク経由ではなく直接ライン出力からぶち込みたいからだ。D7000はそれができただけに無念さが残る。

あと説明書からはよくわからないのだが、動画撮影中のAF追従はできないようだ。つまりC-AFにしていても撮影開始時のピント位置で固定されてしまう。ただしAF/AE-Lボタンを押すと撮影中でもピント合わせはやり直してくれる。もちろん盛大に音は拾ってしまうが・・

まあしょせん動画はオマケということか。動画にこだわるならG6・・(以下略)

コメント

  1. Kan より:

    こんにちは。
    操作面・機能編とK-30のところをK-50と勝手に置き換えたりしながら読ましてもらいました。K-50の中身はK-30って言われてますし、いろいろと癖を教えてもらえそうなので参考にしたいと思います。(^^;;
    私もいよいよ購入を目の前にして盛り上がってきました、さあK-30か?K-50か?。

  2. オーナー(考え中) より:

    >Kanさん

    まあ中身も操作性もまったく同じですから、そのままK-50にも当てはまると思っていただいて結構です。
    ただRAW現像ソフトの違いだけは気をつけた方がいいです・・

    いよいよですか! どっちでもいいですけど、G6に浮気しないで下さいね。(爆)

  3. BigDaddy より:

    だいぶ解剖が進んでいますね。

    水準器を表示している場合、露出補正ボタンを押しながらダイヤルと書かれていますが、K-5は露出補正がセットされているダイヤルを回すだけで、ファインダー内でISO感度表示部分が露出補正値になるのと、露出補正バーを表示させる場合は、露出補正ボタン押しながらでなく、露出補正ボタンを押したら、押しっぱなしでなく、露出補正バーが現れます。K-30では変わったんでしょうかね。

    手振れ補正の1/125secの誤動作は確実に存在しますが(K20D、K-7でもありました)、いつ出るかが判らんのですよ(笑)。出ない時は全く出ませんし(むしろAF誤測距の方が出る確率は高いです)、出る時は何故か一番大切なコマで出ちゃう(笑)。家に帰ってカメラを壁に投げつけたくなる時あります・・・。

    それと1つ前の記事でグリーンボタンに関してですが、これは昔の電子接点の無いMFレンズを使う際に自動で露出をセットしてくれる機能があるのと(初期のMFレンズ持ちには必要不可欠な機能でグリーン押して電子プレビューでセットされた露出の確認と言う流れです)、リセットでは一番使うのがISO AUTOから手動ISOにした後、ISO AUTOにすぐに戻す場合ですねぇ。これは便利です。

    露出基準値はK-5にもありません。これを以前から付けてくれとお願いしていますが、機構上無理なんだそうです(だからうちのK-5は露出基準値を低くする大改造をしたんですよ、まぁ電気を食うので、基盤交換とセットで元に戻しましたけどね(笑))。この基準値設定があれば、K-5もあれだけ馬鹿露出と叩かれる事に無かったんでしょうねぇ。

    いやぁ、人がどのメーカーのどのカメラを使おうが、気にならないですが、やっぱりPentaxユーザーが増えるのは嬉しい限りです。

  4. オーナー(考え中) より:

    >BigDaddyさん

    水準器の件ですが、K-30では前ダイヤルに露出補正を割り当てている場合は、回しても露出補正値が表示されません。±マークが表示されるだけです。でも露出補正ボタンを押す場合は、確かに離しても露出補正バーが表示されたままになります。

    結果として、やはり普通に露出補正ボタンを押す方が良いと思いました。これならグリーンボタン一発でリセットできますしね。そして前ダイヤルにISO感度を割り当てればグリーンボタンでISO AUTOに戻せるので便利でした。これで決まりです。やっと露出補正ボタンとグリーンボタンの使い途ができました。(笑)

    手ぶれ補正の誤作動は今まではっきりそれとわかるのはなかったですね。出たとしても100枚に1枚くらいじゃないでしょうか? オリンパス機に比べれば確率的には低いように思います。ただ肝心なときに発生してくれると頭に来ますが・・(笑)

    露出基準値ですが、機構的に無理っていうのは意味がわからないですね。だって露出補正に下駄を履かせるだけですから、ソフトウェアで簡単にできるはずです。もちろんその分、露出補正の範囲が狭まりますが、それはニコンなら説明書にちゃんと書いてあります。だからそんな大げさな改造が必要というのが理解できないんですね・・

  5. BigDaddy より:

    なるほど、水準器表示の際は、K-5と少し差別化してみたいですね。手振れ誤動作は仰る通り、その程度の割合かと。

    露出は、ウロ覚えなので話半分として・・・。K-7の時にK20Dよりも明るくなるんで、ファームウェアで露出基準設定出来れば良いなとサービスの方に言ったところ、ファームウェアの記憶領域だかメモリだかがパンパンでどうにもならんて聞いた記憶があります(単なるその場限りの言い訳な気もしますが)。

    これが言い訳でなかったから、それ以降のK-5らのファームウェアの領域もパンパンで、ソフト的に出来ないのかもしれませんねぇ。特にK-5は露出馬鹿なので、露出基準値を付けろと言う要望が相当数あった筈なのに、一切手を付けませんでしたからね。

    安くする為に削れるところを全て削っているんでしょうか。K-mでは安くする為と世界一小さな一眼レフを目指したってだけで、縦横センサーを付けず、ユーザーが縦位置で撮影した写真をパソコンで回転させねばならなかったり、やっぱりPentaxはどの機種でも突っ込みどころがあるんですよねぇ(笑)。

    Ricohと合併して、そういう部分が治ってくれると期待しているのですが・・・。

  6. オーナー(考え中) より:

    >BigDaddyさん

    たった1台のためにファームウェアを書き換えるなんてことは大変ですから、普通はやらないと思うんですよ。
    ソフト屋の勘ですが、おそらく露出補正を制御する変数が1つあって、そこに数値を加えたり引いたりするだけで基準値は変えられるはずです。メモリが足りないというのはたぶん言い訳かと・・(笑)
    でもそれはソフトを作った人間にしかわからないはずですから、仕方なく物理的電気的な手段で露出をずらそうとしているのではないか?とも考えられますね。

    少なくともファームウェアを設計する段階ではいくらでもできるはずだし、ファームの更新でも解決できる話ですね。

    ちなみにE-PL2にも縦横センサー付いてません。(笑)