PENTAX K-30 ファーストインプレッション(操作編)

投稿日:2013年11月30日 更新日:

デジタルカメラ

やっとK-30のクセもわかってきたので、ファーストインプレッションを書いてみる。画質についてはカスタムイメージの設定など、まだ追い込めていないところもあるので、とりあえず今回は全般的な操作感について。

まずK-30を最初に持って感じた第一印象は、「軽っ!」である。数字的にはD7000とそう変わらないのでもっと重いものを予想していたが、持った感じはまったく違う。もちろんレンズの軽さもあるのだが、とにかく軽い。体感的にはE-620とさほど変わらないように思う。18-55mm付き、バッテリー・SD込みの実使用状態で実測してみると880gだった。E-620 + 14-42mmでは790gだったので90gしか違わない。どうりで軽いわけだ。大きさもD7000よりはるかにE-620に近いので、大きいと感じることはまったくない。大きすぎず重すぎず、まさに理想的なサイズに収まっている。やはりカメラはこのくらいの大きさでなければならない。これはE-620の正統な後継にふさわしいと実感した。


次に手に持ったときのホールド感だが、これがまた良い。グリップは比較的深めだけれども、幅が細いので手の小さい人でも無理なく握ることができる。これがD7000のような分厚いグリップだと握っているだけで手が痺れてきた(笑)。中指が当たる部分の窪みも具合が良く、より安定感を増している。グリップ全面に張られたラバーも感触が良くて、まさに吸い付くようなホールド感だ。そしてボディー背面の親指が当たる部分が少し出っ張っているが、これもまた安定感の向上に一役買っている。K-30のロゴの下が斜めになっているので、ここに親指を置いていると疲れない。単に奇抜さを狙ったのではなく、機能性をよく考えられたデザインと感じた。

賛否両論あるK-30のデザインだが、少なくとも自分が撮影しているときは背面と上面しか見ないはず。それだけなら庇はまったく気にならず、K-50より断然カッコいい。そして庇も慣れれば愛嬌に思えてくる(笑)。庇の存在でK-30を毛嫌いしている人はその点も考慮した方がいい(笑)。考えようによっては庇がマウント部への雨の侵入を防いでくれるので、本来の庇の役割も果たしていると考えられるのだ。(笑)

K-30で最も素晴らしいと思うのはやはりファインダー。このクラスでペンタプリズム・視野率100%というのはあり得ない。したがってファインダーの見え具合はE-620を大きく引き離している。おそらくニコンやキヤノンに慣れている人は暗くてザラザラしていると感じるだろうが、これはピントの山を見やすくするためであって、MF時代のファインダーに近いものである。AF精度に不安を抱くより、素直にMFしたくなるくらい良くできたファインダーだ。このクリアなファインダーで撮る楽しみを覚えてしまうと、やはりミラーレスには戻れない。

AFは付属のキットレンズがボディー駆動方式なのでどうしても音がやかましくなってしまうが、速度自体は爆速といっていいくらい速い。ギュイーンと実に気持ちよく合焦してくれる。フォーカスポイントが11点なので、今どきの一眼レフとしては少ないと感じる人もいるだろうが、あまり多すぎると選択が煩雑になってしまうのも事実である。多すぎず少なすぎず、このくらいがちょうどいい。もっとも自分は中央一点しか使わない主義なので、別に何点あっても同じことだ。

背面の十字キーはフォーカスポイントの選択と機能のショートカットを兼用しているが、フォーカスポイントの選択をマニュアルにしている場合は当然切り替える必要が出てくる。これはOKボタンを長押しすることによって可能だ。このアクションをまどろっこしいと感じる人は当然いるだろう。ニコン機の場合は十字キーはフォーカスポイント選択専用になっており、切り替えることなしに即座に選択が可能だ。ただ中級機以上ではモニター左側に機能の設定ボタンが並んでいるので即座に設定を変更できるが、エントリー機ではそれがないため、何をするにもiボタンを押してインフォ画面に入らなければならなくなる。それが非常にわずらわしい。ここがニコンのダメなところ。やはり十字キーにはよく使う機能を割り当てるべきだと考えている。それで切り替えが必要になったとしても、その方が実用性が高い。フォーカスポイントの選択より、機能の設定変更の方が頻繁に使うからだ。

シャッター音についてはK-5系とは明らかに異なり、ガシャッとかなり派手な音がする。ミラーショックも幾分大きいかもしれない。あまり高級な音ではないが、はっきりシャッターが切れた感触があってこれはこれで良いと思う。このクラスで1/6000秒を装備しているのは希少な存在だ。

エントリー機としては異例の2ダイヤルのおかげで、操作性はすこぶる良い。露出補正は通常露出補正ボタンを押しながら後ダイヤルを回すことで行うが、このボタンがなかなか押しづらい位置にある。そこで当然のように前ダイヤルには露出補正を割り当てている。これならボタンを押さずにダイレクトに露出補正が可能だ。ニコンのエントリー機はこれができないから不満なのだ。ただこの機能を使うと、露出補正ボタンはほとんど飾りになってしまう。その右側にあるグリーンボタンもそうだが、K-30はボタンのカスタマイズがあまりできない。グリーンボタンはペンタックス独自のもので、主に設定のリセットなどに使っているようだが、このボタンを使うことはほとんどない。にもかかわらず特等席に陣取っているのがもったいないのだ。なぜ他の機能に割り当てることができないのだろう? オリンパス機はボタンのカスタマイズ性が異様に高い。今までオリンパスを使っているとこの辺がどうしても物足りなく思えてくる。

ボタンでもう一つ不満な点を挙げれば、削除ボタンが右手側にないことだ。左上にあるライブビューボタンが再生時には削除ボタンを兼ねている。今までE-620もE-PL2も削除ボタンは右手側にあったから、どうしても右手の親指で押したくなってしまう。しかもオリンパス機だと削除ボタンは独立しているのに、まったく無関係なライブビューと兼ねるというのも変な設定だ。さらに不満なのは削除ボタンを押した後にキャンセルがデフォルトになってしまうため、さらに十字キーで選択してからOKボタンを押さなければならない点。これもオリンパス機だとキャンセルデフォルトか実行デフォルトかを選べるようになっているため、一つ少ないステップで削除が可能だった。自分は失敗写真はその場で消す主義だから、削除は頻繁に使う。これだけでかなりストレスが溜まるのだ。ユーザーフレンドリーと言われるペンタックスなのに、まだまだ詰めが甘いなぁ・・

ユーザーモードについてはニコンと同じくモードダイヤルにU1とU2があって、それぞれに設定できるタイプ。自分はオリンパスのリセット方式が最良だと考えているので、これはあまりうれしくない仕様だけれども、ニコンと違ってユーザーモード時にはメニューからモード変更ができるのは親切だと思う。というか、ユーザーモードでモードの変更ができないニコンはアホじゃないかと思う。

INFOボタンを押して入るインフォ画面はまあまあ使いやすいかなと思う。ただこれもアイコンがぱっと見てすぐにわかりづらく、オリンパスのスーパーコンパネのように設定が一覧表になっている方がダイレクトにわかりやすい。

マウント部左側にあるRAW/Fxボタンはカスタマイズ可能になっているが、とりあえずデジタルプレビューを割り当てている。これは現在の設定で「試し撮り」を行って結果を確かめるためのもの。露出補正も反映されるから、事前に露出を正確に追い込むことが可能だ。オリンパスにもライブプレビューという機能があるが、主に絞りの効果を見るためのもので、露出補正が反映されないため露出の決定には使えない(「試し撮り」を使えばできるか?)。ただカスタマイズ可能なボタンが1つだけでは少なすぎる気がする。他にも設定したい機能はあるのに使えないのがもどかしい。

再生モードで後ダイヤルを回すと拡大縮小になるのは気に入っている点。これがニコンだと拡大縮小ボタンで操作することになる。ダイヤルの方が指を離す必要がないし、直感的にわかりやすい。これはE-620も同じ。ただしK-30は撮影後すぐに再生ボタンを押すと画面が表示されるまでしばらく待たされる。カード書き込み中に押すとそうなるのだ。E-620もD7000も瞬時に表示されたため、この点だけはちょっとイラつく。バッファを表示するとかできないのだろうか?

あと一つ気づいたのは、基準露出設定メニューがない点。これはK-5系もそうなのか? オリンパス機だと露出補正とは別に基準露出というものが設定できて、各測光方式ごとに好みの基準値が設定可能である。つまりアンダー目、オーバー目に調整できるのだ。K-30の分割測光は若干アンダー目になる気がしているので、+1/6くらい下駄を履かせられれば良かったのだが・・

まあエントリー機としてはかなり良好な操作性を実現しているとは思うが、細かい部分で詰めの甘さが目立つ気がする。今まで使っていたE-620があまりにも細かく設定できるため、どうしてもオリンパスが基準になってしまっている。そういう意味で厳しい見方になってしまうのは致し方ない。

長くなりすぎたので、機能面のレビューは次の機会に譲ろう。

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