カメラは買わない

投稿日:2016年5月29日 更新日:

デジタルカメラ

K-S2が値下がりしてにわかにカメラ物欲が騒がしくなってきたが、果たしてK-S2を買ったら幸せになるのか? 「買わない」という選択もあるはずだ。そこで買わないという結論を導き出すために、理論的な考証をしてみよう(笑)。

カメラを買う5つの理由

カメラマンがカメラを買うときの動機について分類してみると、概ね次の5つに大別されるだろう。

1. 壊れた

これはもうやむを得ない事情であるから買うことには正当性がある。そもそも今どきのカメラはユニットごと交換が当たり前だから、修理することは初めから考えられていない。修理をしようものなら新品を買うのとほとんど同じくらい費用がかかることは珍しくない。よほどそのカメラを気に入っていて入手困難でない限りは新しく買い換えた方が賢明だろう。

ただデジタルカメラの場合は壊れるよりも先に陳腐化することの方が多いので、かなり稀なケースである。本当に壊れるまで使われたのならば、そのカメラはむしろ幸せだと言わなければならない。

2. 陳腐化

デジタルカメラの進化は日進月歩であるから、3年も経てば見劣りしてくることは避けられない。特にセンサーのような心臓部分の陳腐化はユーザーの努力でどうしようもない。たとえばE-620やE-PL2の買い換えがこれに該当する。当時のPanasonicの糞センサーではISO800でもノイズが盛大に発生して使い物にならなかった。いくらLightroomで現像しようが限界というものがある。ユーザーの努力でどうにもならないものは買い換えるしかない。新しいセンサーを手に入れれば何の努力もなく高感度耐性が得られるのだから、費用対効果は限りなく大きいはずである。

ただしK-30の場合は陳腐化とは言わない。確かに現在は2000万画素超が主流になっているが、それを必要とする状況がなければ無用の長物である。それでも高感度耐性やダイナミックレンジが良くなっているならば価値はあるが、それもない。むしろ高画素化で悪くなった可能性もある。すでに5年以上前のSony製1600万画素センサーは今もなおAPS-C最強の高感度耐性とダイナミックレンジを誇り、現役で戦える性能を持っている。だから陳腐化とは言わないのである。

3. 必要に迫られた

自分の撮影スタイルを追求していく中で、要求がカメラのスペックを上回ったときに起こる。たとえば写真展で全倍にプリントするので高解像度が必要になったとか、室内スポーツを撮るので高感度に強く高速なAFと連写が可能な機種が必要になったというような場合である。これはもうカメラの絶対的なスペックが不足しているのだから、カメラマンの技量ではどうしようもない問題である。こういう場合は同クラスの後継機ではなく、上位機種またはより大きなフォーマットに乗り換えるのが普通だろう。つまりステップアップである。自分の成長に合わせてカメラも成長させるという考え方で、ある意味最も正当な購入理由である。本当にそのカメラが必要であれば値段なんて関係ないだろう。ボッタクリ価格だから値下がりするまで待つなんてケチくさいことを言ってる場合じゃない。借金してでも買うべきだ。

ただし、プロでもない限りこのケースは稀である。アマチュアカメラマンが持っているカメラのほとんどはオーバースペックである。つまり所有するカメラの性能をフルに発揮させることさえできていないのである。

4. 欲しいから

正当な理由もなく、ただ物欲を満たすために買うという最悪の買い方である。もっとも買う方は何かと屁理屈を付けて正当化しようとするのが常である(笑)。実はアマチュアカメラマンの購入動機のほとんどはこれである。一般的にアマチュアカメラマンは写真を撮るよりカメラを買うことが目的なんだ。写真なんてしょせんカメラのテストみたいなものだ。新しいカメラを買ったらその辺の風景を適当に撮ってカメラのテストをし、やっぱり最新のセンサーは凄いね~とか言ってベタ褒めする。でも一通り撮ると飽きちゃうんだ。そしてまた新しいカメラを手に入れる。その繰り返し・・

写真系ブログでも半年くらい見てないと必ずカメラが替わってる人っているでしょ? それは間違いなくこのタイプだな。カメラをコロコロ買い換えて落ち着きのない人間にいい写真が撮れるわけがないと断言しておこう。まあそんなに金があるんならどうぞご自由にとしか言いようがないのだが・・

5. 安いから

デジタルカメラというものは発売当初は高価だが、時間とともに値下がりする傾向がある。特に後継機が出て生産完了が近づくと半値以下の投げ売り価格になることも珍しくない。発売当時は高くてとても手が出なかったものが手頃な価格になってくると、必要もないのに買いたくなるのが貧乏人の性である。それはちょうどスーパーの特売で安いからといって必要以上に食品を買いまくり、冷蔵庫の奥にしまい込んで腐らせてしまうオバサンに似ている(爆)。

自分の購入動機を考えてみると、実はほとんどがこれなんだ(爆)。「買わなきゃ損」、自分はこの言葉に弱い。E-PL5もGM1Sもまさにそうだった。別にカメラなんてまったく欲しくもなかったんだが、安いからとりあえず買っとくかという理由だけで買ってしまった(爆)。K-S2が欲しいのも同様の理由である。でもよく考えてみよう。「買わなきゃ損」じゃなくて、買ったら確実に損してるんだよ。必要のないものを買うということは、買いすぎて結果的に腐らせてしまうオバサンと同類なんだ。

だからこれも最も悪い買い方。必要のないものを買うということは、「買ったら損」だということを肝に銘じておくべきである。どんなに安く買えたとしても、売ったら半額にもならない。それだけ損をしたということだ。

結論として、買う理由が4.または5.であれば買わないのが正しい。買うことによって何かが必ず変化する。新しく買ったことによって別のカメラがドナドナされたりしてカメラ内力学?に変化が生じる。それは将来的な構想にも必ず影響を及ぼす。売ったり買ったりを繰り返すことは最もロスが大きいことを知らなければならない。その金があれば憧れの高級機を軽く買えたはずなのだ。

K-S2を買わない3つの理由

K-S2への未練を吹っ切るため(爆)、もう一度量販店でK-S2を触ってきた。その結果、次の3点で本当に要らないと確信した。

1. ホールディング性が悪い

K-30は奇抜なデザインと言われたが、人間工学的に作られているので手の中に包み込むようなフィット感があり、ホールディング性は良好なんだ。背面の右手親指が当たる部分は曲面の突起が設けられており、自然に親指がかかるようになって力を分散できる。

ところがK-S2は完全にフラットなデザインのため、親指の行き場がないんだ。一応、申し訳程度にゴムの小さな突起が付けられているが、あんなのでは軽いキットレンズでさえ保持するのが辛い。ましてやF2.8ズームを保持するのは拷問でしかない。しかも親指が当たる場所にはAE/AFロックボタンがあって、誤って押してしまう可能性があるという最悪な設計である。

2. 十字ボタンの操作性が最悪

これはもう何度も言ってることだけど、改めて触ってみると本当に最悪だ。1分も使ってるだけでイライラしてきた。十字ボタンだけでなく、すべてのボタンがボディーとツライチ、上から押し込むようにしないと押せない。Pentaxの設計者は何を考えているのか、アホとしか言いようがない。

3. ケーブルレリーズが使えない

これもしつこく言ってるけど、K-S2最大の欠点だ。タッチパネルがないことを嘆く人が多いが、ケーブルレリーズを省略したのはそれを上回るPentax最大の失策だ。これがないと三脚が使えない。いくら赤外線リモコンやスマホで代用できると言っても、そんなものじゃ撮影のモチベーションも萎える。

最近、写欲もまったくないんだけど、またネイチャーフォトでもやってみようかと思ってるんだ。といっても芸術性を目指すんじゃなくて、あくまでも風景の記録として残したいんだけどね・・。しかしPentaxの手ぶれ補正も望遠ではまったくと言っていいほど効かないことがわかってしまったので、ネイチャーフォトに三脚は必須なんだ。でも三脚の使えないカメラなんて要らない。やっぱりPentaxの設計者はアホなのか?

以上の欠点を見つけたため、K-S2への未練は完全に吹っ切れた(爆)。やっぱりK-S2は実験機だったということがはっきりした。まあ次はK-70に期待だねえ・・。したがってK-S2はいくら安くなっても買わない。だからと言ってK-3へ行くわけでもない。K-3は2400万画素と重さがデメリットになるからだ。比較的軽量で視野率100%ファインダーのK-30は唯一無二の存在なんだよ。

マイクロフォーサーズも買わない理由

K-S2とK-3を諦めたから代わりにG7かE-P5でも買うのか?というとそれもない。理由は「センサーサイズの超えられない壁」である。

マイクロフォーサーズはレンズが優秀なこともあって、解像感だけで見ればAPS-Cと同等かそれ以上である。しかしダイナミックレンジと高感度耐性はやはりAPS-Cに1段以上劣ることは経験的にわかっている。しかもセンサーの世代が新しくなれば逆転するというわけでもなく、最新のセンサーをもってしてもやはりAPS-Cには追いつけないのである。だからセンサーサイズは絶対なんだ。

Sony製1600万画素センサーは今なおAPS-C最強のダイナミックレンジを誇る名センサーである。それだけのためにPentaxを残すと言っても過言ではない。K-30とSIGMA 17-50mmF2.8でコンプリートしてしまってるんだ。だからわざわざダイナミックレンジの劣るマイクロフォーサーズを買い足すことはない。手持ちのE-PL5とGM1Sだけで十分であり、最新機種でも付加価値が増えただけで画質は何も変わらないからだ。

したがって、カメラは「何も買わない」。迷ったときはこれが最善の選択である(笑)。

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